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税率引き下げ発表はミス=財務省、大統領発言取消し=97年以降、27・5%で続く

2005年9月10日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ルーラ大統領が国会に送ったメッセージの中で、来年度の所得税の最高税率は現行の二七・五%から二五%に引き下げるとしたのに対し、財務省は連名で八日、大統領発言を取消し、来年も引続き最高税率は二七・五%の現行通りで継続するとの声明書を発表した。
 同省の説明によると、今回の政府内の失態は、来年度予算の原案を作成した国税庁が二七・五%の最高税率を設定した暫定令が二〇〇五年十二月三十一日をもって期限切れになることから、来年以降は暫定法以前の法律に戻り、二五%の最高税率を基に税収を算出して大統領に報告したもの。大統領はこれをウノミにして得意気に減税として公表したいきさつがある。
 この暫定令は二〇〇三年に法令一〇八二八号として発令され、高額所得者の最高枠を二七・五%として期限を二〇〇五年十二年三十一日までとした。しかし声明書によると、この暫定法一〇八二八号は、二〇〇五年五月二十五日付の法令一一二九号により二〇〇六年も有効であるとの修正案により延長された。このため国税庁の解釈は単純な法解釈ミスだったと釈明している。
 所得税の最高税率を二七・五%に設定したのは一九九七年で、そもそもは当時のアジアを襲った不況、いわゆるアジアショックの余波を受けたことから税収アップで危機を逃れるために取られた措置。このため当初の有効期限は一年後の一九九八年で、さらに一九九九年まで延長されるという短期モノだった。これが税収に浸透したことから順次二〇〇二年十二月三十一日、さらに二〇〇三年十二月三十一日に延長され、はたまた法令一〇八二八号で今年末まで、最終的に法令一一一九号で来年まで有効になった長い歴史がある。
 政府は国税庁の単純ミスが重大な結果を招く原因になったとして、予算編成にたずさわった高官三人を更迭したと発表、さらに国税局長官の責任問題にも波及すると見ている。関係筋は今回の失態は、各省間の連携がお粗末なことに起因していると指摘した上で、大統領府および大統領の不勉強が露呈されたと批判している。