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盛り上がり欠いた独立祭=式典参加者が半減=反政府一色、PT党旗は姿消す

2005年9月9日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】七日のブラジル独立記念祭は、全国的に政局スキャンダルを反映し、例年に比べて今一つ盛り上がりに欠く催しとなった。汚職追放や反政府ひいては大統領インピーチメント(弾劾罷免)のプラカードも登場するなど、従来のお祭りムードとは打って変り、当日の小雨混じりの肌寒い天候に象徴されるような沈滞した集会となった。
 ブラジリアで午前九時から開かれた記念式典会場にルーラ大統領は夫人とともに大統領専用車のロールス・ロイスのオープンカーで到着した。観覧席に到着した大統領は大きな拍手で迎えられた。観覧席の前の一般席は労働者党(PT)の予約席で、党員以外は入場禁止の「買い占め席」となっており、PTのロゴ入りの赤い帽子で埋め尽くされていた。
 抗議集団はそれより遠く離れた場所に限定されたため、野次や怒号は観覧席に届かずじまいだった。観衆はルーラ大統領の支持がウナギ上りになった二〇〇三年に五万人に膨れ上り、昨年は六万人に達したのに反し、今年はその半数の三万人と、人気の凋落を歴然と示した。
 昨年は大統領がマリーザ夫人の前夫の母親も含む家族親戚一同および大統領の前身であるサンベルナル労組の幹部などを特別招待して観覧席に侍らせたのに対し、今年は二十人の閣僚とわずか三人のPT下議に加え、特別招待席には折から訪問中のナイジェリア大統領と盟友のジョビン連邦最高裁判長のみという寂しさだった。
 式典も昨年はアテネオリンピックで「英雄」となったリマ選手が国旗を掲げて入場の口火を切り、観衆の大拍手で盛り上げたのに対し、今年は四人の無名選手の登場に終わった。それでも大統領は空軍の空中ショーに感嘆しつつ上機嫌で愛敬をふりまいていた。
 いっぽう、各地では汚職追放と反政府の旗色一色となった。過去二年間パレードの主役となったPT党旗はどこでもついに見られずじまいだった。リオデジャネイロ市のパレードには四千人の軍隊と三千人の市民が参加、独立宣言をもじった「誠実か死か」をスローガンに市中を練り歩いた。
 サンパウロ市ではイピランガ独立記念公園で二千五百人が集会を開き、「自分らの手でブラジルを改革しよう」と汚職追放を叫んだ。パウリスタ大通りでは四百人がデモ行進し、「貧困撲滅、ただし清潔な血で」と撲滅基金にまとわる汚職を弾劾した。サルバドル市では三台の音響装置車が繰り出して「汚職」「インピーチメント」の即興の歌を流した。