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あちらを立てばこちらが…=眠れる獅子起こしたペトロブラス

2005年9月7日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八月十一日】皮革業者があまり皮革製品を輸出したので、製靴業者が原料不足による皮革高騰と中国製の安価な靴で板ばさみになっている。同じ現象が国際市場でも起きていると、評論家のセウソ・ミング氏が輸出市場の異変を指摘した。
 輸出業者が産業界の構造に疑問を持ち始めたのはよいことだ。ペトロブラスは七月、原油を一〇億ドル輸出し業界の鼻を空かした。そのためヴァーレ社が、鉄鉱石価格を七六%値上げした手柄は消された。原油輸入公団のペトロブラスが七月に原油輸出公団へ変貌したニュースで業界は持ちっきりだ。
 ペトロブラスのお陰で為替市場に異変が起こった。ドル安レアル高はさらに拍車がかかり、業界は不平をもらした。ペトロブラスの変貌が、国内のコモディティ(国際必需品)や原料市場で原料高を引き起こした。コモディティ輸出は、受取り分の目減りなど国内輸出業者の予算計画と歳入計画を狂わせた。
 さらにペトロブラスの変貌は、中国やインドなどアジア諸国をコモディティの買い付けに走らせた。こうしてコモディティ輸出国の通貨は全般に引き上げられた。ブラジルもその一員だ。
 ペトロブラスの反響は、まだある。中国を始めとするアジア諸国が、加工産業に力を入れるため鉄鉱石など原料の買占めを始めたこと。ブラジルから買い付けた鉄鉱石で製造したアイロンなどの加工製品は、ブラジル国産のアイロンよりも低価格で国内市場へ津波のように帰ってくる。
 ペトロブラスがもたらした余波は、ドル安レアル高と中国初めアジア諸国の輸出攻勢で、ブラジルの製造業者に往復ビンタをくわせた。エコノミスト誌によれば、コモディティの国際相場や世界各国の為替相場、金利政策、給与政策は中国の一存にかかるという。その中国をペトロブラスが刺激したのだ。
 ブラジルの事業家は、工業製品の市場棲み分けと縄張り、国際貿易のカラクリを勉強しなければならない。ペトロブラスの変貌を機に国際市場に異変が起きている。ペトロブラスが眠れる獅子を覚醒させた。
 ブラジル国民は、魚の目が痛いと政治危機位のことで泣き言をいってはいけない。レアル通貨の引き下げができない中銀に呪いをかけてはいけない。