ホーム | 日系社会ニュース | 友はみなアマゾン=日焼たたえ合ふ=大賞にベレンの大楯さん=第2回海外日系文芸祭=ブラジルから多数入選=短歌部門での受賞目立つ

友はみなアマゾン=日焼たたえ合ふ=大賞にベレンの大楯さん=第2回海外日系文芸祭=ブラジルから多数入選=短歌部門での受賞目立つ

2005年9月3日(土)

 ブラジル、カナダ、アメリカなど世界各国の日系人から千を超える数の俳句・短歌の応募があった第二回海外日系文芸祭の入選作がこのたび発表され、大賞にベレン市近郊在住、大楯エツヨさん(79、山形)の俳句「友はみなアマゾン日焼たたえ合ふ」が選ばれた。ほかにも、ブラジルからの応募者の受賞が目立ち、特に俳句部門で四つの主要賞のうち三つを獲得するなど優秀な成績を残した。
 文芸祭は、昨年海外日系新聞放送協会設立三十周年を記念して始められたもの。昨年より応募総数こそ減ったものの参加国が増え、計一千百一の俳句・短歌が寄せられた。
 大賞の大楯さんは一九五七年、夫の末三さん、三人の子供と共にぶらじる丸で来伯。パラー州ガマ移住地に入植し、その後移り住んだベレン市近郊ビネビオス郡で現在も暮らす。
 俳句を始めてまだ一年半。ベレン市の日伯会館で行われている句会に毎月参加している。受賞作は「真っ黒に日焼けして働きながら、『健康色ですよ』と言い合う友人たちの姿をみて作った」という。
 大賞以外にも、ブラジルからの応募者の受賞が目立った。
 俳句部門では四つの主要賞のうち三つを獲得、七作が選ばれた文芸祭賞の四作はブラジル在住者の作品だった。
 一方、短歌部門では主要賞、文芸祭賞を各一つずつ受賞した。
 文芸祭(海外日系新聞放送協会、海外日系人協会、海外日系文芸祭実行委員会の共催)と表彰式は十七日、JICA横浜国際センターで開催される。当日は小塩卓哉選考委員長が、外国における日本語文芸の魅力について講演。
 「海外からの参加予定者が何人もあり、貴重な交流の機会となる。作品を出していない方も参加してほしい」と、小塩委員長は呼びかける。
 ブラジルからの応募者が選ばれた主要賞と文芸祭賞の受賞作品は次の通り。敬称略。
 【俳句部門】海外日系新聞放送協会会長賞=呼び寄せの書類懐かし紙魚の痕(下小園蓉子)▽海外日系人協会理賞=冬銀河音なく眠る大樹海(大熊星子)▽角川『俳句』編集部賞=ブラジルの水に馴染みて水中花(広田ユキ)▽文芸祭賞=金ラベル貼られて弗を稼ぐ柿(猪野ミツエ)/蚊帳の中寝息静かな亡父思う(徳永悦子)/イグアスの滝見が見合なりしわれ(瀬良義雄)/自叙伝に粉飾少し湯ざめして(栢野花影)
 【短歌部門】▽海外日系人協会理事長賞=産土の地ははるかなる空の果て 阿蘇の煙の見ゆるわが故郷(星井文子)▽文芸祭賞=五百年の歴史煮込んだフェイジョアダ 三世代並んで舌鼓打つ(中田みちよ)