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議会職員昇給案を可決=大統領拒否権、初めて失効に

2005年9月2日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】上院と下院は三十一日の国会で、議会職員給与を一五%昇給することを合同審議の上議決した結果、賛成多数で可決した。昇給案は過去に上院および下院で個々に可決されたが、大統領が拒否権を発動していた。今回はこの大統領の拒否権による暫定法を再審議し可決したもので、これにより拒否権は失効したことになる。
 ルーラ大統領は就任以来二年八カ月で初めて拒否権の失効という敗北を味わった。昇給が議会職員に留まらず、連邦公務員や司法関係者も対象となると、定年退職者も含め対象者は三万人に上り、政府としては給与支払いに九八億レアルの補正予算の上積みを余儀なくされる恐れがある。与党国対委員長のメルカダンテ上議は、予算確保は無理だとして連邦高裁に決議差し止めの告訴をすることを明らかにした。
 ルーラ大統領は失望と怒りを表明するとともに、審議を決行した両院議長を非難した。しかし与党筋は今回の昇給案は両議長の議長選挙の折の公約であり、阻止は不可能だったとの見方をしている。さらに連立与党の多数議員も今回は政府に反対票を投じたとして、これまでの一枚岩に亀裂が生じたと見る向きが多い。相次ぐスキャンダルに次ぐ今回の敗北は、政府の今後の政局運営にも痛手となることが危惧されている。