2005年9月2日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】積荷強盗の発生は昨年までの過去五年間横ばいで推移してきたが、本年に入り増加傾向をみせている。積荷強盗は麻薬と並び犯罪組織の資金源となっており、経済成長のあおりで高額製品が国道輸送でひんぱんとなったことで、犯罪活動もまた復活したとみられる。犯罪者にとっては運転手と助手二人というのも強盗を容易にするメリットだ。これにより製品の被害額のほかに、運送会社の防犯システムの設置、警備員、盗難保険などの経費総額を含めると、年間全国で三三億レアルとなり、国内総生産(GDP)の五・九%に相当する一四一三億レアル規模(昨年度実績)の運送業界の屋台骨を揺るがす事態に陥っている。
サンパウロ州保安局によると今年一月から三月までの積荷強盗は二千百三十件と、昨年同期の二千二十一件を五・四%上回った。いっぽうサンパウロ州運送協会が取りまとめたところでは、今年第1・四半期の被害は月平均二百二十六件で、昨年同期の二百十二件に対し六・八%の増加となった。これまでは二〇〇〇年が百九十件、二〇〇一年が二百二十一件、二〇〇三年が二百四件と横ばいで推移してきた。
発件数は微増だが、被害金額は昨年の一六〇〇万レアルに対し、今年は一八〇六〇万レアルと約十三%の増加となり、付加価値の高い製品が被害にあっていることを示している。これでいくと一時間に二万五九〇〇レアルの製品がサンパウロ州内のどこかで盗まれていることになる。
被害総額のうち三三〇〇万レアルが倉庫に押し込まれて盗まれたもので、昨年一年間のこの種の被害が五六〇〇万レアルだったことから、今年の流行となっている。個別のトラックを狙うより集積所を襲い一攫千金を目的とする大胆な犯行が急増している。
またこれまでは強盗グループが盗品を一度自分らの倉庫に収めてからそれぞれの目的地に発送していたが、最近の傾向は盗品買い組織と連絡を取り合い、強盗現場から目的地に直行させる。盗んだトラックには衛星で追跡する追尾装置が付いているので、途中で積み替える。このため盗品買い組織が引き取らない物は盗まない。
ある運転手はバンデイランテス道カンピーナス市付近で三人組の強盗に襲われたが、積荷が家具だったため無罪放免となった。ただ行きがけの駄賃として携帯電話を持って行かれた。これまでの被害では医薬品、電化製品、自動車部品などが上位ランクを占めている。
犯罪組織は運転手が休憩するガソリンスタンドなどで積荷の中味を探ったり、貨物検閲所の係員を買収し、目ぼしいトラックの走行先で待機している仲間に連絡して襲う手口を取っている。
これに対し運送業界では衛星を通じてトラックの現在地を探知する装置を取り付けたり、高価な製品には第三者の専門警備員を雇って護衛させたりしている。これらの経費だけで、利益が飛ぶこともあるという。また通常の盗難保険の払い戻しは一一〇万レアルと上限があり、これ以上だと料率が五倍にはね上がる。保険会社が再保険院に持ち込むためだ。保険会社でもトラック積荷盗難保険は歓迎していない。イタウ保険によると昨年の保険支払いは保険料の八五%に達し、決算では一〇一%の支出になったとのこと。