2005年8月31日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】ブラジルは二〇〇五年七月、石油の輸出が飛躍的に伸びた。世界最大の産油国サウジアラビアの国王死去とともに、国際原油価格が過去最高となったからだ。
ブラジルには突然、幸運な要因が揃った。短期間に国際原油市場の情勢が急変し、石油製品の生産と輸出が激増した。ブラジルは燃料の国内消費をまかないながら、経常収支の均衡が可能となった。
ブラジルの経済史を見るなら、二〇〇三年には原油と石油製品の外国依存から解放された。〇五年七月も原油と石油製品の収支は均衡し、しかも長期に安定する見込みが立った。ヴァロール紙の予測によれば、毎日の原油と石油の平均輸出額は六八五〇万ドルという。
七月の石油輸出は前月比三〇九%増。〇五年上半期では前年下半期の一七八%増。これらの数字は夢ではなく、近年投じられた石油部門への投資が実り始めたのだ。上半期に建設していたプラットフォーム二基が、生産を開始した。
さらに三基が〇五年末までに完成する。よいことがあったのは、ペトロブラスだけではない。石油の市場開放が行われ、シェルなど国内の多国籍企業も増産体制に入り、生産と輸出を伸ばしたことだ。
これまで原油の輸入を行ってきたレプソールやブラスケン、コペスール、ペトロキミカ・ウニオンなどが、輸出へ商売変えした。まだブラジルは石油輸出では、駆け出しに過ぎない。しかし五年以内に、カナダやカザフキスタン、アゼルバイジャンなどと並び石油輸出国機構(OPEC)に加盟する見込みらしい。
石油の長期展望では、中国やインドなどが大消費国へ変貌し、石油の需給関係を崩す懸念がある。こんなときにブラジルの産油国入りは幸先がよい。
ブラジルは現在の生産量、日産二〇〇万バレルを〇六年には二三〇万バレルに増産する計画だ。原油の需給統計については、調査機関によって産業開発省のようにまだ不足と見るところもあるが、長期的に輸出国であることには変わりない。