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前官房長官に不快感=ルーラ大統領=両巨頭が対立=忠犬装い、責任転嫁=「生みの親」も決別宣言

2005年8月30日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】政局混乱の収拾に苦慮するルーラ大統領は二十七日、ジルセウ下議が政治危機は全て大統領への忠誠心がなせる業と声明を発表したことに対し不快感を表明した。議員権はく奪審理から逃れるため、忠犬であるかのように言を弄して責任を大統領にかぶせ、功労者のように振舞うと大統領は同下議をいぶかった。大統領報道官によれば、同下議が労働者党(PT)向け融資について国会の注目を大統領府へ向けることで難関の突破を画策しているという。同下議自身も、一連の告発で党から不当な扱いを受けていると不快感を表明した。
 政局混乱は、両巨頭の確執に至ったようだ。政府の心臓部で分裂が起きたことで、いかに難局を乗り切るか今後の政局運営が危ぶまれている。難関突破のジルセウ戦略は、全ての責任をPT首脳部人事も含めて大統領府にかぶせ、党内にある不協和音は、ジェンロ臨時党首を主流派と衝突させ封じ込める考えだ。最後に大統領から止めの一発を打ち込んでもらい、党内収拾を図るらしい。
 万策尽きた大統領は神頼みに走り、ノッサ・セニョーラのバッジを上着に付けた。大統領は経済開発審議会の席で「同志諸君、誤解される行為があったなら、応じるべき点から応じる」と呼びかけた。これがジルセウ下議の怒り心頭に発したようだ。
 議員権はく奪回避で呻吟中の同下議は、大統領の不器用さを批判し、不当な扱いをされたと不満を表明した。二〇〇二年の大統領選では、ルーラ大統領生みの親ともいえる同下議を熟知する者は、大統領への決別宣言とみている。PTとブラジル民主運動党(PMDB)の連立遅れや内閣改造が優柔不断で失敗した責任は、誰にあると思っているのか。大統領の無責任な発言は許されないというのだ。
 PT政権の三十カ月は、ルーラ対ジルセウの腕相撲だったという財務省の見方もある。最初の衝突は、PMDBに優先して時限爆弾のブラジル労働党(PTB)と連立を組んだこと。PTと連立を組んだ党は政権経験のない党ばかりで、PTが政策に自主性を欠き連立与党に頼り過ぎる結果を生んだという。
 ジルセウ下議は二カ月間にわたる裏金疑惑の告発に、応戦体制ができたと宣言した。PTの裏帳簿も融資の調達も、ブラジル社会民主党(PSDB)が行ってきたことを真似ただけであると。〇六年選挙では同じ手を使って野党を欺くと、下議は宣言した。
 同下議は官房長官を辞任した六月、豪華な公邸をロウセフ次期長官に引き渡し、相部屋の議員宿舎へ移った。環境の激変は全く気にしないという。それより議会調査委員会(CPI)への出頭が、気になるという。証人を被告人扱いし、軽蔑したような雰囲気と屈辱の質問攻めが同下議の癪にさわるらしい。
 同下議は大統領について、微妙な立場にあるだけで政治生命を絶たれたわけではないし、大統領再選のチャンスはあると述べた。ジェンロ党首の、ルーラは終わった、PTを支援する理由はないとする声明は遺憾だという。大統領は政局収拾で神頼みに走ったが、同下議は間違っても神に祈ることはないと告白した。