2005年8月30日(火)
在伯群馬県人文化協会創立六十周年記念式典およびサンパウロ州との姉妹提携二十五周年記念式典が二十八日、ブラジル日本文化協会大講堂で開かれた。約三百人が会場を訪れ、還暦を迎えた県人会を祝福した。終戦間もない頃、サンパウロ市セントロのトキワ食堂に集った県人有志によりはじまった同県人会。戦後六十年の節目の年に、ブラジルの群馬県人もまた、一つの歴史を刻んだ。
還暦を迎えたブラジル群馬県人会。戦前戦後を通じてブラジルに渡った県人は約三千人。現在の県系人口は約五千家族に上る。
式典には、先日着聖した西林万寿夫聖総領事、クラウジオ・レンボーサンパウロ州副知事など日伯両国関係者のほか、北伯をはじめ国内の県人会支部、日系諸団体から代表者が出席した。
母県からは、後藤新出納長、中村紀雄県議会議長をはじめとする慶祝団三十六人が出席して、式典に花を添えた。式典に先立ち一行は、パラー州ベレンの「アマゾン群馬の森」での植樹祭に参加。その後、出納長、議長らはパラグアイ、アルゼンチンで同国県人会の記念式典に出席して着聖した。
式典は午前十時半に開始。日伯両国歌斉唱に続き、先没者に一分間の黙祷を捧げた。
あいさつに立った松田典仁会長は、来賓、来場者への謝意を表した上で、これまで二百十人の留学・研修生を受け入れてきた母県と県民に感謝の言葉を述べた。そして「世代が変わりつつある中、群馬県の伝統文化を継承する人材育成につとめたい」と語った。壇上、会長は、長年母県と県人会の交流に尽力した故・久保田富一郎県議の写真をかかげ、哀悼の意を表した。
続いて後藤新出納長、中村紀雄県議会議長があいさつ。後藤出納長が、事情により来伯の叶わなかった小寺弘之知事のメッセージを代読した。
メッセージの中で知事は、苦難の歴史を乗り越え、ブラジル社会の信頼を得た県人移住者の功績を称えるとともに、六十年にわたって県人会を支えてきた関係者に敬意を表した。
レンボー副知事、西林総領事など来賓の祝辞の後、群馬県功労者として四人が表彰を受けた。後藤出納長より賞状と記念の銀杯が手渡され、高柳清名誉会長が代表して謝辞を述べた。
続いて七十五歳以上の高齢者へ記念品贈呈。該当者百五十三人を代表して、男性は佐藤マサルさん(82)、女性は石田ヒノさん(91)が壇上に上がった。佐藤さんは「両親と渡伯して七十二年。苦難の道を乗り越え今の自分がある。これからもブラジル国家、県人会の発展に微力を注ぎたい」と謝辞を返した。
壇上ではこのほか、県から県人会への祝い金、文協、援協、県連の三団体への寄付金が贈られ、県人会から後藤出納長に記念品が渡された。
最後に元留学生、研修生を代表して白田ネウザさん(八一年訪日)があいさつ。教育、日本語の習得に熱意を傾けた祖父母、両親に感謝の言葉を述べ、「これからは、私たちを育んでくれた世代に代わり、私たちがこれからの世代を背負い育んでいく責務があると思います」と語った。
会場全体で群馬県歌を斉唱。祝賀昼食会の後、午後からは各種のアトラクションが披露された。歌や婦人部による踊りのほか、ヨサコイソーランや太鼓。慶祝団からも、中村議長の歌、後藤出納長のサックス演奏などが披露された。