2005年8月25日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】サンパウロ市南部サント・アマーロ区の地下水汚染を調査している環境衛生技術公社(セテスビ)は二十三日、同地区七カ所で人工井戸の使用禁止を命じ、閉鎖した。
井戸からは人体に有害なポリ塩化ビフェニールなどの塩化系薬品や金属物質が大量に検出された。これらはガンや肝臓などの内臓疾患の原因となり、長期的には死に至る。井戸にはショッピング・センター、SPマーケットセンターの三カ所も含まれている。
汚染範囲はインテルラーゴ地区からソコーロ地区にかけての一キロ以内が最も危険と言われている。セテスビは原因を調査中だが、この地区はかつて工業地帯で、工場群が立ち並んでいたことで、環境規制がなかった当時、排水に混じって薬品が土中に流出して浸み込んだと考えられている。
このためセテスビは同地区以外にも汚染は波及していると見て、飲料や調理用はもとより、シャワーや庭の清掃などにも井戸水を使用しないよう呼びかけている。また、指定区域以外だが、ミネラルウォーターとして広く売られているペトロポリス社の地下水も重点的に検査していく方針だ。同社はモルンビーショッピング近くのビセンテ・ハウー大通りで地下水を汲み上げて販売している。セテスビでは飲料水だけに大事を取り、厳重な検査が必要としている。
そもそも汚染が発覚したのは、ジレッチ社が買い取った古い倉庫の井戸水の水質を検査した所、有毒薬品を検出、二〇〇二年にそれをセテスビに報告した。水質検査を行ったセテスビは、一年後にクロと判定しながら何の対策も講じなかった。ジレッチ社は再度の水質検査で有毒物質が昨年一年間に増えていることを指摘し、セテスビの今回の動きとなった。セテスビでは常時五十人の監督官がおり、一日十五件のサンプルテストを行う能力があるにもかかわらず、今回の対応の遅さに非難が起き上がっている。
汚染を指摘されたSPマーケットセンターは、井戸水はセテスビの規制に沿ってろ過した後に薬品処理を施しているもので、使用許可もあるのに今回の措置は心外だとの態度を表明している。
いっぽうで、同じく名指しされたペトロポリス社も営業に影響がでると迷惑顔だ。同社によると二〇〇三年に同業者が流したと思われる汚染の噂があって以来、毎月第三者に依頼して水質検査を行い、品質を保証しているという。鉱山エネルギー省管轄のミネラル製品管理局も、同社の品質は規格を充たしており飲料用に何ら問題がないとする声明を発表した。