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「泣けてしょうがない」=NHKドラマ「ハルとナツ」 文協で試写会=10月2日からTV放映

2005年8月24日(水)

 今秋に放映されるNHKの放送八十周年記念ドラマ「ハルとナツ―届かなかった手紙」の試写会が二十二日、文協小講堂で開かれ、日系団体の関係者など約八十人が来場した。この日は第一話「姉妹」を上映。訪れた人の中には、自らの体験を重ねる人もあり、誰もが静かに画面に見入っていた。試写会の様子は同日午後のNHKニュースでも紹介された。また上映後の会見で、同ドラマが十月二日から五日連続で放映されることが発表された。
 ドラマ「ハルとナツ」は、昭和初期に北海道から一家でブラジルへ移住した主人公のハルと、トラホームのため日本に残った妹ナツの七十年の人生を描いた物語。「おしん」の橋田寿賀子さんが脚本を手がけ、日伯両国で撮影が行われた。
 ブラジルでの撮影は昨年五月にカンピーナスの東山農場で行われた。日本から来伯した出演俳優に加え、ブラジル側からエキストラを募集し、約千人が出演したことも記憶に新しい。
 この日上映された第一話「姉妹」は、ハルとナツの七十年ぶりの再会から始まり、主人公一家の北海道での生活とブラジルへの移住、移住後のコロノ生活が描かれている。神戸の移住教養所でトラホームと診断され、日本に残ることになる妹のナツ。神戸港で姉妹が別れ別れになる場面では会場からすすり泣く声も聞かれた。
 同ドラマの演出を手がけたNHKエンタープライズの佐藤峰世ディレクターも会場を訪れ、上映後は出席者との意見交換も行われた。
 佐藤ディレクターは「皆さんの協力なしにはこの作品はできなかった」と語り、関係者に謝意を表した。またドラマについては「悲しいだけの話でなく、希望の持てる作品にしたかった。移民がブラジルに持ってきた希望や勇気にどれだけ近づけるかを考えた」と語った。
 出席者からは様々な感想が聞かれた。在伯三十八年という女性は「最初は浮ついた作品だと思っていましたが、実際に見て移民の苦労が感じられた」と感想を語った。別の出席者からは「こうしたブラジル移民の苦労を、もっと早く取り上げてほしかった」との意見もあった。
 試写会の様子はその日のNHKニュースでも紹介された。取材に応じた池崎博文・リベルダーデ商工会長は「泣けて泣けてしょうがなかった」と感動を語っていた。
 NHKでは現在、平野植民地を題材にしたドキュメンタリーを製作中。「ハルとナツ」に合わせて放映する予定だという。
 ドラマは十月二日から六日まで、五日間の連続放送。放送時間は第一回「姉妹」が二日午前九時(ブラジル時間)から十時半まで(九十分)。第二回から最終回までは午前九時から十時十五分まで(七十五分)。