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大統領弾劾に色めき立つ野党=選挙資金の違法決済受け=「単純な問題でなく典型的汚職」

2005年8月13日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】郵便局汚職事件にからむ労働者党(PT)の不正資金の流れを追及している議会調査委員会(CPI)で、広告代理店経営のドゥーダ・メンドサ氏が同党の資金を外国の銀行に蓄積して流用したことが明らかにされたことで、野党側は一斉に反発、ルーラ大統領のインピーチメント(弾劾による罷免)に発展させる構えを見せ、色めき立っている。
 メンドンサ氏はルーラ大統領の盟友で、二〇〇二年の大統領選挙では参謀を務め、とくに選挙資金を取り扱っていた。同CPIで証言したメンドンサ氏は、同党の不正資金調達の中心人物、ヴァレーリオ氏と共謀して外国預金を流用して大統領選挙で生じた赤字を穴埋めにしたことを明らかにした。
 CPIの委員らの質問攻めに対しメンドンサ氏は、これら資金の流用は党が合法化していたものと理解していたと述べた。さらに大統領に対し個人的に資金援助をしていたことも認めた。大統領就任までは個人的な友人だったが、その後はルーラではなく大統領であり、付き合いは絶っていると述べた。
 CPI委員らはこの証言に色めき立ち、一様に大統領インピーチメントを適用するに十分だとの見解を示した。野党議員らは、「PTの党ぐるみの裏帳簿という単純な問題ではなく、典型的な汚職だ」と糾弾、大統領が辞任してCPIは解散だと気勢を上げている。
 インピーチメントは元首の罷免を審議決定するものだが、罪状によっては州知事や市長にも適用される。元首の場合は下院の三分の二の賛成が必要で、その後上院での三分の二、あるいは連邦最高裁の判決によって決まる。これまでコーロル大統領が唯一適用を受けている。
 野党側の動きに対し、ジルセウ前官房長官が側近筋に語った所によると、大統領のインピーチメントの是非に問題が発展した場合、ベネズエラの政争のような泥仕合になるだろうという。同前長官も渦中の人物で、議員権はく奪の可否が問われているが、政敵の仕掛けていることだとし、政界から身を引くつもりはないと強調している。いっぽうで土地占拠運動(MST)と統一労働戦線(CUT)の幹部は大統領支持を再確認し、大統領弾劾には大規模なデモで対抗するとの意向を示している。