2005年8月11日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】カヴァウカンチ下院議長は九日、ジルセウ前官房長官(労働者党==PT)に対する議員権はく奪審議先送りを撤回し、はく奪審議要請書を下院倫理委員会へ提出した。自由党(PL)のマベル下議についても下院議長は同様の扱いを要請した。下院倫理委員会のイザル委員長は十日、ジルセウとマベル両下議に対する議員権はく奪の審議手続きを開始した。これで両下議は、議員権はく奪が裁決された場合、二〇一五年まで政治活動が禁じられることになった。
下院議長による前官房長官の議員権はく奪握り潰し工作は、険悪な反響を呼びゴウルドマン下議(ブラジル社会民主党=PSDB)の議事妨害宣言などで、無益な摩擦を招くと判断した同議長は譲歩を余儀なくされた。倫理委員会は九十日間で、前官房長官など下議らの政治活動禁止を審議することになった。
二〇〇六年の選挙に出馬を希望する場合、審議手続き中の下議は、手続き終了前に議員辞職をしなければならない。下院議長は下院の思わぬ抵抗にたじろいだようだ。下院法務委員長のロペス下議(自由戦線党=PFL)に下院議長は助言を求めたが、議長の判断は大失敗だと同委員長から断罪された。
下院議長が前官房長官の助命にこだわるなら、九十日プラス六十日の審議期間延長要請のチャンスが残されているという。これにより、議員権はく奪が大量に上るため十分な審議ができないとする下院議長の抗弁は認められないことになる。下院議長は前官房長官に事情を説明し、了解を求めた。
下院議長とそのグループは、審議先送りで時間を稼ぐ作戦がミエミエであった。時間が経過していくほど情勢は変わり、審議も緩慢になるとみていた。それに時間的余裕があれば、倫理委員会に背後から圧力を掛けることができる。国中が関心を寄せ、熱を上げている現時点の審議は不利だという考えだ。
広告業者のヴァレーリオ氏は、ジルセウ下議がPT裏帳簿のキーパーソンだったという。ソアレス前財務担当は口癖のように、政治危機の中心人物かつ総責任者は前官房長官だと愚痴ったことを同氏が明かした。満期の銀行融資に期限延長を応じたのは、前官房長官の保証があったからだという。
かつてジルセウ下議は友人であったが、現在は敵であるとヴァレーリオ氏は恨んだ。前官房長官は上下関係だけで、友人になれるタイプではない。性格的に高圧的で権力志向である。同氏とPTの関係は、一度関係した処女が脅されて関係を続けるような仲で、裏金調達を続けたという。
サントアンドレ裁判所第八民事法廷は、ジルセウ下議と暗殺された前市長の実兄ジョアン・フランシスコ氏の対面対決を予定していたが、九日に中止した。実兄は〇二年、ジルセウ下議の事件関与を訴えた。ジルセウ下議は実兄を名誉毀損で訴えた。しかし、同下議は第八法廷への出廷がマスコミの無用な注意を引くとして出廷を拒否、裁判所がそれを容認した。同下議は議員特権により、裁判を続行する場所を選ぶことができるとされる。