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被害のツケは国民に=中銀金庫破り=国庫が損失補てん=保険なし、甘い「親方黄緑」体質

2005年8月11日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】国内犯罪史上最大、世界でも二番目の被害額となったセアラ州フォルタレーザ市の中銀の金庫破り盗難事件は、事件が発覚してから二日が経過した十日現在、犯人の足取りや現金の行方が依然としてつかめていない。連警は捜査員百人を動員、連邦道路警察、軍警、市民警察の協力を得て捜査に全力を挙げている。政府も国庫財政担当を現地に派遣して情報収集に当たらせている。
 政府によると、中銀の場合は今回の盗難事件のような損失が出た場合、それが一年間の収支決算の赤字の原因になると国庫が損失を補てんする仕組になっているという。逆に黒字の場合は政府予算に組み入れられる。この仕組だと中銀の損失は国民の税金でまかなわれ、儲けたら政府が使うことになり、国民には何ら還元されないことになる。
 国民の多くは今回の事件でこの仕組を初めて知り、「親方日の丸」ならぬ「親方黄緑(ブラジル国旗)」の中銀体制に批判の声が上がっている。故に今回の盗難には保険が掛けられていなかった。さらに週末とは言え、大金を保管している場所に警備員が常駐していなかったこと。およびセンサーや防犯カメラを設置しておきながら、その見張人がいなかったこと。それらの機器類のメンテナンスは十分だったのか、など指摘されているが、その根底には前述の甘い体質が多分にあったのではとの非難も出ている。
 警察では一味が小型トラックを所有していたことから、盗んだ現金の輸送用に用意したとみているが、現金の大半はまだセアラ州内にあると踏んでいる。総重量三・五トンの紙幣を遠方に運ぶには、道路警察の検問に引っかかるリスクが大きいからだ。警察の追及がゆるんだのを見計らって少量ずつ運び出すのが常とう手段だという。そうなれば盗まれた紙幣は使用済のもので(犯人らはそれが狙いだった)紙幣番号が控えられていないことため、捜査は極めて難航する。
 トンネルを掘るために借りられた家は、三カ月前に人工芝を販売する会社として営業登録されていたことから、捜査陣は関連人物の身辺調査を行っている。また昨年サンパウロ市で発生した同じ手口の盗難事件の容疑者を同一犯として足跡を追っている。さらに防犯機器を設置した会社の社員や、中銀行員、元行員などの身辺調査を始めた。中銀メイレーレス総裁は内部関係者に、三十日以内に報告書を提出するよう指示した。