2005年8月10日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】議員を買収する汚職と税金をごまかす脱税とは同一現象だとカトリック大学のジェームス・マリンス教授がいう。汚職は、民主政体の柱を侵食する公人の行為。脱税は、収入の一部を国家建設に納める義務を侵食する民間人の行為である。
汚職の弊害は国民が国の発展に寄せる希望を損ない、納税という連帯意欲を萎縮させる。納税が公金横領という汚職を培養するように誤解され、脱税行為が正当化される。汚職政治家を養うために苦労しているのではないと、納税拒否が市民の間に定着する。
脱税行為は、市民の抵抗活動に変身する。実際には脱税行為は市民権の喪失なのだ。脱税行為はアングラ市場と汚職ネットを形成する。大企業や犯罪組織が裏金帳簿を作り、その強化に協力する。
脱税行為は政府機関の中に忍び込む。脱税資金が選挙費に使われる。脱税企業の代表が国会に送り込まれ、省庁の高官に赴任する。高官が不正資金の動きを看過し、脱税を取り締まる税吏を追放する。
他に国家公務員やエリート管理職の高給が民主主義社会を歪めている。脱税などの逃げ場がない庶民を不満のやり場がない状況へ追い込む。海賊版の横行や伝票未発行などに口実を与え、脱税を増殖する。
ブラジルの汚職も脱税も、増えることはあっても減ることはない。誰もがブラジルの病根には悩んでいるが、知ると腹が立つ。知らないほうが気が休まる。議会調査委員会(CPI)や検察庁、連邦警察で解決できないなら、大学やNGO、オンブスマンが乗り出すしかない。