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犯罪がほとんどない町=警官4人、拘置所はなし=サンパウロ州

2005年8月5日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七月二十四日】のどかな田園風景が広がるトラビジュ市(サンパウロ市から二五〇キロのアララクアラ地方)での昼下がり、人口千三百四十人の町はひっそりと静まりかえった目抜き通りの歩道で五人の市民がトランプに興じている。彼らは数日前に盗まれたトラクターの話でもちきりだった。
 降って湧いたようなトラクター盗難は格好の話題となった。このトラクターは数時間後に発見された。持ち主がタイヤの跡を追ったらユーカリ林に放置されていた。盗みにしては幼稚でいたずらとも取れるが、住民にとっては、数年来の盗難事件で一大事なのだ。
 サンパウロ州治安当局によると、州内六百四十五市のうち六三%に相当する四百十市で今年、三カ月間殺人事件が発生していないという。また昨年同期比で、強盗が一五%減、盗みが八%減、強姦や殺人未遂が二%減となっている。また、三十市ではほとんど犯罪発生率がゼロに近い。
 トラビジュ市もその一つで、一カ月にコソ泥三件の被害届けが最高だ。二〇〇〇年から二〇〇四年の四十八カ月で盗難被害は二十九件、サンパウロ州内の大きな市の一日分の被害に相当する。これまで最大の被害は、農場から冷蔵庫一台、三枚の寝具マット、料理用の鉄板、包丁、ペンチだった。犯人はほかの犯罪同様検挙されず迷宮入りとなった。
 警察官は四人いるものの、今年に入ってから逮捕者はゼロ、警察に拘置所はなく、また必要ないとのこと。警察の仕事は隣人同士の口論や夫婦喧嘩の仲裁、子供に噛みついた犬の処置などだが、目下のところはスーパーの前に放置された自転車の持ち主を捜すことだ。一年に一回開かれるビール祭りで酔った若者らがケンカを始めるが、警官が来る前に仲直りしているという。市民らは、犯罪人はこの町では商売にならず、大都市にデカセギに行ったのだろうと笑っている。