2005年8月4日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】黒い霧に包まれていたセウソ・ダニエル・サントアンドレ元市長殺害事件で、SMPB広告社のヴァスコンセロス財務取締役の報告書から新事実が二日、明るみに出た。同報告書では、同市政の中に構築された汚職システムを通じて捻出した資金が労働者党(PT)へ献金されたのではと、当時のダニエル市長が不審に思ったため殺害されたとし、さらに同事件のPT側の弁護を元検事総長の関係する法律事務所が担当し、費用をヴァレーリオ氏が負担していたという。
アリスチデス・ジュンケイラ元検事総長の法律事務所が、ダニエル元市長殺害事件のPT側弁護を担当し、しかも広告業者のヴァレーリオ氏が弁護費用を負担していたとは、ブラジルを震撼させるショックな報道といえそうだ。
ヴァレーリオ氏経営の広告会社SMPBのシモネ・ヴァスコンセロス財務取締役が提出した報告書は、何でもありのブラジル政治の舞台裏を浮き彫りにした。事件は二〇〇二年一月、PT資金のドル箱とされたサントアンドレ市で資金捻出システムに疑問を抱いた市長が、友人と夕食後の帰途、同市内で拉致されサンパウロ市近郊の草むらから死体で発見された。
サントアンドレ元市長殺害事件を捜査したサンパウロ州検察局の面々は、背後にジュンケイラ元検事総長がいて、裏金配布の同じ黒幕に飼われていたことに驚いている。同事件の捜査がPT首脳部に及んだとき、PTは元検事総長を抱き込んだ。サンパウロ州検察局に後から手が回り、圧力がかかったのも同じ時期だ。いままで法の番人であった者が、暗黒の世界の門番に変貌したのだ。
PTサンパウロ市支部長のフラデスシ氏が事件へのPTの関与を否定し、ジュンケイラ元検事総長が筆頭株主の法律事務所へ弁護を依頼した。SMPB報告書は、弁護費用五四万五〇〇〇レアルを四回払いで支払ったとしている。しかし、まだ五万レアルの残高がある。
ジュンケイラ法律事務所は、費用の支払がヴァレーリオ氏から出ていることに驚きの色を隠せないでいる。弁護契約はPTサンパウロ市支部との間で交わされ、支払いの受け取りは事務所事務員が行った。同事務所はてっきりPTの資金で支払われ、第三者の肩代わりとは知らなかったという。
契約書によると、PTの体面を保つためにジュンケイラ法律事務所が、殺害事件に関する刑事法廷およびサントアンドレ市政に関する民事法廷の内外で司法業務を代行したという。さらにPTは市長殺害事件に限らず、PTに対する全訴訟審理を委任している。この条項はアリスチデス・ジュンケイラ氏個人が、PTのドブ掃除を引き受けたことを意味する。
しかし、その費用をPTは一銭も払っていない。払ったのはヴァレーリオ氏だ。厚かましいことにジュンケイラ氏の傘の下でジェノイーノ前党首、ソアレス前財務担当、ドゥトゥラ元都市計画相、フェルナンデス上議、アウフレッド下議が肩を寄せ合って無料で法律上の面倒を見てくれというのだ。同法律事務所は今年七月、裏金に関わった全てのPT要人の弁護を断った。