2005年7月30日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】国内最大の犯罪組織、サンパウロ市の首都第一コマンド(PCC)の出納帳簿が初めて押収され、巨額の資金の流れが解明されつつあるが、今度はペルエイロ(乗合バス乗務員)から強引に多額の資金を徴収していることが明るみに出た。
手口は、営業料あるいは通行料もしくは保護料などと名目をつけて各営業所に組員を張りつけ、収益の如何にかかわらず武力で徴収するもので、拒否すると暴力や車の破損、ひいてはお決りの死の制裁となる。その点は一昔前のアメリカのシカゴ・ギャングや日本のヤクザをほうふつとさせる。関係者によると、この無法徴収が浸透したのは二カ月位前からで、警察では殺人捜査課がペルエイロ二人の殺人事件の捜査線上で背景を明らかにしたことで、組織犯罪課が現在捜査に乗り出したとしている。
殺人捜査課では昨年八月以降に発生した四件のペルエイロ殺人事件のうち、二件がPCC下部組織によるものと見て捜査を行っていた。同課は、被害者二人はいずれも東部で合法的認可を得て営業していたため、組織の徴収を拒否し、殺害されたとみている。当局は容疑者を割り出して指名手配中だ。
この捜査の事情聴取を受けた二十六人のペルエイロが組織の悪業を告発したことから全貌が明らかとなった。告発によると、組織は一台につき一率週平均三百レアルの料金を設定、金曜日の午後六時にはきっかり集金にくるという。前出の被害者四人は支払いを拒んだため、いずれも土曜日の朝、射殺体で発見された。
告発者のうち六十歳の運転手は昨年、支払いを拒否したためにピストルで撃たれ、弾丸がまだ頭部内に刺さったままだという。これによると、二十二台のぺルーア(バス)だけでも毎月二万五〇〇〇レアルとなる。市内には非合法も含め六千五百人のペルエイロがいることから、組織にとっては金の成る木だ。
当局ではこれを基に証人固めや組織の通話記録を入手したが、立件は難しいとみている。組織は告発者に対し、裁判での証言を拒否するよう脅迫を始めており、中には自宅に押しかけられ、家族への死の脅迫を受けている人もいる。
サンパウロ市東部と南部地区が最も利用者が多いことから、組織の稼ぎ頭となっており、これを良いことに要求はエスカレートし、毎日の集金制にしたり、金額を倍増するなどの暴挙に出ていることから、ペルエイロは営業所での警察常駐を当局に要請している。