2005年7月28日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】郵便局CPI(議会調査委員会)は二十六日、裏金の事務処理を行ったとされる広告業者ヴァレーリオ氏の妻、レニウダ・サンチアゴ氏を召喚し、ルラル銀行が労働者党(PT)へ融資した事実をジルセウ前官房長官が承知しているとする言質を取った。同妻の証言によれば、ベロ・オリゾンテ市のホテル・オウロ・ミナスで二〇〇四年末、前官房長官はルラル銀行代表とPTへの融資決済で協議をしたとされる。ミナス銀行とも同目的で接触したという。
最高裁は同妻への人身保護令適用を認めなかったので、黙秘権も認められなかった。「CPIは、知らなかったでは通らない。あなたは共犯者か、犠牲者か」と詰問し、重苦しい雰囲気で証人喚問が始まった。
同妻の証言によれば、前官房長官はPT債務の決済期限繰り延べ交渉のため、ルラル銀行代表と会ったと夫が話したという。同様の理由で同長官はミナス銀行理事ともブラジリアで会ったと証言した。両会合にヴァレーリオ氏も出席したかは分からない。
夫の裏金配布と買収工作については全面否定した。銀行融資はPT前財務担当から頼まれ、ブラジル銀行などの取引で不利になるので断れなかったという。PTのために便宜を図っても見返りがないので、むしろ迷惑だったとした。事務処理について夫の会社内のことは、じゅうたんの色も知らないと否定。業務は夫に一任、委任状も渡してあり、夫に対する信用は結婚が証明すると証言した。
一方、前官房長官はルラル銀行とミナス銀行の関係者との接触は認めたが、会合は両行の要請によるもので、融資も決済も話題にならなかったと、証言を否定する声明を発表した。しかし、会合理由と内容には触れなかった。アマラルCPI委員長は、前官房長官が党内で孤立し、議員権剥奪の可能性さえ感じていることを憂慮した。
前官房長官は、CPIの背後で糸を操るブラジル社会民主党(PSDB)に報復する考えでいるらしい。まずヴァレーリオ氏の背後に、PSDBがいると見ている。次にPTのCPI対策で、グシケン氏の対応に対する不満がある。また大統領府の中に全てをジルセウ氏の責任にしようとする動きがあることも、同氏を不快にさせている。
野党はヴァレーリオ氏の妻の証人喚問で、包囲網が確実に狭められたと得心している。ルラル銀行関係者との会合確認で、ジルセウ氏の退路が断たれたとみている。ミナス銀行との会合確認も、野党の思惑通りにことが運んだという。ジルセウ氏を陥落させれば、ルーラ政権は骨抜きだと野党はほくそ笑んでいる。
ジェンロPT党首は、妻のCPI証言について党員に説明するよう官房長官へ求めた。党員が告発の原因となる事件を犯した責任者であるなら、党倫理委員会は手遅れになる前に裁くべきだと述べた。党を守るためにも党則違反の実態は解明すべきだと提言した。
ジルセウ氏が銀行融資の事実を知っていたとするヴァレーリオ氏の妻の証言を、党倫理委員会は本人の言い分も聞き、全党員と同様に裁決すべきだと同党首は主張した。CPI証言は証拠として扱われないため、党裁決は早とちりと最高裁はみている。