2005年7月27日(水)
【ヴェージャ誌一九一四号】父親の世代がゼロから出発したことを自慢するなら、現在のブラジルの新人類はマイナスから出発せねばならないことを自慢するべきだと、ハーバード大学のカニッツ教授がいう。
ブラジルの公共債務は現在、一夫婦当り五〇万レアルに上る。父親の時代は,全て難しかったようなことをいう。そのときは、この記事を読んで聞かせることだ。父親が生まれたころは、世界人口が二十億人しかいなかった。
父親の世代がフリーセックスなどを謳歌し無責任な子づくりをしたので、世界人口は四十億人に増えた。現代の新人類は、四十億人のライバルと生存競争を競わねばならないのだ。秩序ある父権は、まだ確立されていない。
父親の時代は,原油はバレル当り五ドルから一五ドルに過ぎなかった。現在は一〇〇ドルに届こうとしている。税金は国内総生産(GDP)の一五%だった。可処分所得が八五%もあったのだ。父親らはこの事実を忘れている。
父親の時代は自由に使えるお金が十分あったので、一家揃ってデイズニーランドにも行けた。今は税金がGDPの四五%、可処分所得は五五%しかないのだ。頭のよい者は脱税するから、国庫とは関係ない。
昔は父親の給料で一家生活できたから、夫婦共稼ぎの必要がなかった。母親は現在、自分の子供のしつけを犠牲にして働いている。息子と結婚する嫁も稼がないと、息子夫婦は生活できない。嫁の稼ぎは親の代に制定した税金を払っていると思ったらよい。
親たちは、一兆レアルの公共債務を新人類への遺産として置いて行った。青年たちは親の借金に年利一九%の利息を払いつつ返済しなければならない。親が置いて行った負の遺産は、まだある。社会保障院の累積赤字だ。
新人類三十年後の時代になると、累積赤字は元利合計七兆レアルに膨れ上がる。現在三十歳で三十年後、定年になる新人類二千万世帯が直面する問題である。三十年後定年を迎える新人類は一人当り債務が四〇万レアルになる。一生かかっても、これだけ収入がない人のほうが多い。
今日の新人類は、八八年に連邦令を制定した人たちの犠牲者である。この悪い習慣はブラジルばかりではない。米国の親たちも新人類に四〇兆ドルという負の遺産を置いて行く。米国人の考えは、いくら借金をしても払うころ自分らは死んでいると考える。
死後の債務決済まで心配無用と、親たちは思っている。借金のおかげでブラジルはこんなに経済発展をしたと親たちはいう。重税は一般庶民を助けるために制定したと考える。しかし、そのため新人類の未来に黒い暗雲がたち込めていることは誰も言わないし、心配する人もいない。