2005年7月26日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】広告代理店経営のヴァレーリオ氏が労働者党(PT)に貸し出したと目される融資金に対し、党執行部が不払いを表明したことが「返せ」「払わぬ」の次元の低い闘争に発展しつつあり、盟友だった両者の関係が泥沼化する様相を帯びてきた。
そもそもの発端は、党内不正資金のスキャンダルの責任を追及されて失脚したジェノイーノ前党首の後を受けて就任したタルソ・ジェンロ新党首が、裏帳簿にある党債務の支払いを拒否したことから始まる。新執行部は休職中のソアレス前財務担当が独断で融資を受けて裏帳簿で操作していたとの証言を受けて、党としては責任を負わず、前財務担当が責任を持って返済に当るべきだとの態度を表明した。さらに執行部は前財務担当を職権乱用と不正資金流用の疑いで党籍はく奪とともに告発する強硬姿勢を示した。
これに対し、前財務担当の親友でPTの協力者との立場を自負していたヴァレーリオ氏の頭がプツンと切れた。同氏は二十四日、法に訴えてでもPTへの融資金は取り立てるとの決意を明らかにした。報道各社に宛てた声明文の中で同氏は、同氏経営の広告代理店が銀行から借り受けた九三〇〇万レアルはすべてPTが肩代わりし、合法的な契約書も取り交しているとしたうえで、これら書類を連邦裁判所と検察に提出するとしている。
また融資をタテにPTや政府に対し脅迫まがいの行為をしたとの噂が流れたことに対しては、すべてPT執行部が借金から逃れるための茶番劇だとし、これまでの融資の経緯やからくりとともに背後関係をすべて検察に話す所存だとの態度を示した。
いっぽうでジェンロPT党首は、法廷闘争ですべてが明るみに出るのは歓迎だとの見解を示し、党内財政を明らかにした上で、不正資金の責任は負わないとの強硬姿勢を改めて強調した。その上で、現在党の負債は一億六〇〇〇万レアルに上っており、企業で言えば破産寸前にあることも明らかにした。これに対し関係者は、党内の財政管理、党内指示体系、今回の執行部の対応のまずさを暴露した形となり、政権を担当する与党にしてはお粗末だとの声が高まっている。