2005年7月23日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】ルーラ大統領は二十一日、行政機関の要職の七〇%を公務員専門職が管理することを義務づけた緊急暫定令を制定した。これはこれまで与党労働者党(PT)が、要職の任命や推薦により外部から就任させてきたものを廃止して、本来あるべき姿の公務員に戻すもの。
これまでは従来からの貢献度や天下り、選挙の功労などからPT関係者の部外者が要職の大部分を占めていた。続々と明るみに出る汚職疑惑やスキャンダルの渦中人物が、こうした外部からの就任者であることから取られた措置と受け止められているが、関係者は果して「とかげの尾っぽ切り」で世間の目をそらすことができるか注目している。
大統領決定を発表したジウマ・ロウセフ官房長官は記者会見で、この措置は連邦に限らず州や市公務員にも適用するとして、現在要職に就いている二万千百九十七人の七〇%に当たる一万四千二百五十八人を公務員上級補佐官の資格者として起用することを明らかにした。残りの六千九百三十九人については政府の任命で外部人事が可能となる。
同長官は、外部の人間には新たに給料を設定して支払っていたが、従来からの公務員だと既存の給料に加え、要職手当を支払うだけで済み、経費削減にもつながると説明している。これに対し大勢の記者団から質問や疑問点が指摘された。曰く、ルーラ政権発足後二年が経過した今になって経費削減を思い立ったのか、これまで野放しだった理由、また一万四千人強のこれまでの要職者らを失業に追い込むのか、あるいは政府の省内また官庁に横すべりに就職させるのか、その場合、公表どおりの経費削減にならないのでは?など矢継早に質問が飛んだ。これに対し同長官は返答の術を知らず「政治家として失業を黙認する訳にはいかない」と述べたのみで具体案を提示せず、今回の措置に対する政府執行部の詰めの甘さを露呈した形となった。