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金採取場で水銀汚染広がる=放置すると水俣病の恐れ=パラー州

2005年7月22日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】パラー州の金採取場で水銀汚染が広まっており、第二の水俣病発生が懸念されている。科学技術省の調査員二十三人が同州バシア・ド・タバジョー採取場を調べた所、空中、植物、水中、魚、住民の全てで水銀が世界保健機構(WHO)の定める基準をはるかに上回っていることが判明した。
 同採取場はブラジル全体の金の産出の半量を占めている。金採取には水銀が多く使われるため、空中や水中に流れ込んでいる。とくに、イタイトゥーバ市のサン・シッコとクレポリジーニョ部落では汚染がひどく、検査用に捕獲した魚の六〇%から大量の水銀が検出された。
 両部落を流れる川には十五年間に三十七トンの水銀が流されたとみている。水銀は溶解せず、魚の体内や川底に溜まっている。採取された金は熱した水銀の中に入れられ他の物質と仕分けされ研磨される。ほとんどがフライパン状の容器を使用するので、熱した水銀は蒸発して空中に飛び散ったり、容器からこぼれて土中にしみ込み、雨などで川や植物にたまる、植物にたかる昆虫からも水銀が検出されている。
 同部落の住民からは頭痛や吐気、関節の痛みを訴える声が増えている。このまま放置すると水俣病の危険性がある。水俣病は五〇年代に九州の水俣湾が工場から廃棄された水銀で汚染され、獲られた魚を食べて体内に水銀が溜まり、発病した。確かな数字はないが一千四百人が死亡したと伝えられている。