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ヴァレーリオ氏ソアレス氏=裏金疑惑を全面否定=資金は選挙の負債穴埋め=大統領は「PTが悪い慣習を踏襲」

7月19日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六、十七、十八日】政府与党労働者党(PT)内部の裏金工作と他党議員の買収が疑われているスキャンダルで、渦中の人物と目される広告代理店経営のヴァレーリオ氏と、PT前財務担当のデルービオ・ソアレス氏がそれぞれ連邦検察庁に任意出頭し、供述を行っていたことが明らかになった。
 両氏がテレビ局のインタビューに応じて語った内容によると、二人は疑惑を全面的に否定し、資金調達はこれまでの選挙で生じた債務の穴埋めをするためで、選挙法に基づく融資や政治献金だったとつじつまを合わせたように同一の発言を行った。野党議員や議会調査委員会(CPI)では標的逃れの供述とみて、さらに二人を追求していく構えを見せている。
 いっぽうでフランスを訪問していたルーラ大統領は現地で、初めて自党のスキャンダルに触れ、「党は方向を見失った」と決めつけた上で、「歴史的な悪い慣習を踏襲してしまった」と非難した。さらに大統領就任以降党とは疎遠になっており、政府と党は一線を画しているとの態度を表明した。
 十五日に全国で放映されたテレビ・グローボ局の人気ニュース番組ジョルナル・ナショナルのインタビューでヴァレーリオ氏は、ソアレス氏の依頼で数回にわたり銀行融資を受け、PT党員に金を渡していたことを認めた。同氏によると融資金をPTに渡すのみで、その後の使途については預り知らぬ所だという。
 また、これまで引き渡す現金は旅行カバンに詰め込んで運んでいたと取り沙汰されていたが、すべて銀行支店内で行っていたことを明らかにした。金はPTの資金であることは分かっていたが、ソアレス氏個人の保証と契約書に基づいて融資の金を回していたとして、党との関係は否定した。
 同氏は連邦警察に対し、証言をする代わりに刑罰を軽くする司法取引を申し込んだことも明らかにした。連邦警察でもこの事実を認めながらも、捜査が始まった段階であり、現在の段階では司法取引には応じられないが、将来応じる可能性があることを示唆したという。
 いっぽうのソアレス氏もこの供述を裏付け、党の財務責任者として個人の一存で取り仕切ったもので、党首も知らぬ事だと言明している。ヴァレーリオ氏との個人的な友人関係を利用して、選挙法に基づく献金として融資を受け、選挙資金以外には流用していないとし、買収工作を否定している。ただし裏金帳簿の存在は認めているが、他党も同様の措置を取っていると釈明している。同氏も司法取引をもくろんでいるが、ヴァレーリオ氏の結論が出てからにする所存だという。
 ルーラ大統領は現在のPTを非難した上で、党首が交代したからといって罪が消えるものではないとし、ジェノイノ前党首の続投を後押ししていただけに不満を露わにしている。さらに三年前に自分が党首だった頃とは路線が違うとし、現政府閣僚に優秀な党員を引張ってきたせいで党が駄目になったと嘆いている。先の世論調査で大統領支持が上昇したのを引き合いに出し、真摯な態度で常に国民は見ているとし、PTの自重を促した。