7月15日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】男性が避妊手術を受けたにもかかわらず、相手の女性が妊娠してしまった。当然男性は子供の出来ない体だとした上で逆上し、女性の不倫あるいはレイプが頭に浮かび、子供を認知しないばかりか不信が募ってケンカが続き、結局二人の仲は破局を迎えることになる。
男性の場合、精子が通る管を切断するいわゆるパイプカットが、避妊率が高いため一般的となっている。しかしパイプカットをしたからと言って安心ではなく、手術後も定期的に検査を受けて万全を図る必要がある、残留精子がとどまっている可能性があるからだ。
人間の体は医学を超えた自然の働きをすることがある。万全を期したはずが妊娠してしまい冒頭の話となる。サンパウロ大学医学部によると自然に別のパイプが作られてしまうことがあるという。これもごく稀なケースで、確率は宝くじに当たるようなもの。しかし宝くじに当たる人がいるように妊娠もままあり得るとのこと。実際にこのケースで妊娠した女性は「神様のいたずら」と笑う。
サンパウロ市在住の三十九歳の男性は三人の子がいるが、五年前に妻と離婚した際、手術を受けた。恋人が三十六歳で弁護士というキャリアウーマンで、妊娠を嫌ったからだ。手術後も検査を受け、万全の太鼓判を押された。が昨年、妊娠を告げられた時はびっくり仰天。お定まりのケンカに発展し遂に別れてしまった。女性は同僚や友人に冷やかされる毎日を送った。子供が生まれ、DNA鑑定をしたところ、別れた男性が紛れもない父親だと判明した。まさに宝くじだ。
同様のケースがパウロさん(38)とマリル(35)夫婦で起きた。夫婦には五人の子供がいたので、パウロさんが手術を受けた。しかし四年前に妊娠が判明し、やはり疑心暗鬼の毎日が続いた。だがパウロさんが手術後一度も検査を受けていなかったのが原因とされ、一件落着となった。今年になり七番目の子供が生まれ、夫婦は今度こそ完全な手術を受けると宣言している。妻のマリルさんは「神様のいたずらはもうシェーガ(たくさん)」と言っている。