7月14日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十三日】ブラジル弁護士会(OAB)にならい、サンパウロ医学地方審議会(Cremesp)は十月以降、医学生を対象に医師試験の実施に向け準備を進めている。受験は義務付けられていない。試験の不合格者は、同審議会の発行する合格証を受け取れないが、医師としては活動でき、この点で弁護士試験とは違っている。受験料は無料。
同審議会は最初の二年間を試行期間とみなしている。医学部六年生と昨年の卒業生が受験でき、不合格者は翌年に再受験できる。試験は筆記の一次試験と実技の二次試験からなり、百二十題からなる一次試験で六〇%以上正解すれば、二次試験を受けられる。二次試験は八題から十題の基礎的課題が出題され、人形を使った気管確保や心臓マッサージの実演が求められる。
試験の実施に至った背景には、ここ数年間、医師の質が低下してきたことがある。一九九三年には全国で千二百件の医療ミスの告発があったが、昨年は三千三百八十八件に増加した。医学部の設置が増えるともに、医師養成教育の質が低下したともみられている。現在ブラジルでは、百四十四の大学に医学部が設けられ、この数は米国よりも多い。同審議会によると、不合格者または未受験の医学生は、就職が困難になるという。
医師らは、この試験は医師の質向上にそれほどつながらないとみている。試験が義務でなく、不合格者の医療行為が禁じられていないためだ。不合格者の医療行為禁止が理想的と医師らは声をそろえる。不合格者は病院でより安い労働力として使われるだろうと心臓研究所のラミレス事務局長は述べた。
しかし、入学する医学部のレベルがわからない学生にとって、不合格は学生だけにツケを回すものだとする批判も医師と医学生の間にあり、今後この試験をめぐる論争が活発になりそうだ。