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ブラジルの未来はPTの双肩に=ジェンロ新党首語る=年末までに党を再組織化=「信管を抜いた爆弾預かる」

7月13日(水)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十二日】タルソ・ジェンロ労働者党(PT)新党首は十一日、PT政権が一連の告発による撹乱に翻弄され、貧窮にあえぐ下層階級の救済と秩序回復に努めないなら、ブラジルは第二のコロンビアのような無法国家になると記者会見で述べた。いまやPTの民主化運動や社会改革は激しい抵抗を受け、政権を支える与党が危機に瀕している。このような環境の中、次期総選挙では苦戦を強いられるので、党の名誉回復に努めたいと表明した。
 いまやPTは、信頼度と活動能力が著しく低下し、閉塞的状況に追い込まれたとジェンロ新党首は心境を吐露した。衝撃的な告発攻勢を、党と党員は掛けられている。攻撃に対抗する確固とした政治理念がPTにないなら、党は押し潰されるという危機感が覆っているという。
 ブラジルの未来は、PTの双肩にあると新党首が言うのだ。ブラジルの庶民階層にはこれまで、PTが主張するような政治への参加がなかった。PTは階級闘争を法律の中で行った。PTが失脚すれば、希望を失った民衆は自暴自棄になり無分別へ走る。
 民衆の蜂起は、第二のコロンビア化を引き起こす。PT崩壊を野党の崩壊のように単純に考えてはならないとPT党首は訴えた。PTの崩壊が何をもたらすか、ブラジルの歴史を勉強し直して欲しいという。
 PTは現在の事態に至った経過を見直し、年末までに党の再組織化を図る。党は、なぜ道徳的に頽廃したのか。党の活動に参加する者は、告発されるような事実をなぜ容認したのかなどを反省する。PTのモラルが地に落ちたとはいえ、回復の余地はある。モラル頽廃のリスクは、人間である以上ついて回ると党首は考える。
 次期総選挙への打撃は免れないと、PTは覚悟している。党組織の弱体化は明白だ。党は選挙民の信用を著しく失った。党創立の精神は公徳心が旗印であった。裏切られた支援者にとって心の傷は深い。失政の原因を模索するより、支援者への謝罪が第一だとPT党首は告白した。
 執行部発表の省庁政策監査とは、省庁間の協調体制の強化だと新党首はいう。これまでの独走体制とは逆に党が省庁間の橋渡しを行うという提案だ。党がプロジェクトの円滑進行の目的で省庁に先立って、討論会やゼミ、非公式会議を開催する。経済政策の見直しは大統領の役目とし、党が経済政策に介入することはないと新聞報道を訂正した。
 PT新執行部が省庁の政策監査部を設置したことは不要だと、アモリン外相は反ばくした。同外相はPT党員ではないし、党の監査下に編入されるいわれもない。外務省は、共和国大統領の監査で十分という。PTの問題は党ではなく、寡占政治にあるとした。
 PTの新財務担当に就任したジョゼ・ピメンテル氏は、党を思えばこその微妙な役目であるが、二〇〇六年の選挙費用は受け取らないとする声明を発表した。党首も財務担当も、信管を抜いた爆弾を預かったようなものだという。二人とも毛髪がメッキリ減ったが、執行部就任で完全に無くなるのではと心配している。