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中銀独立の法制化急げ=任務一任の内部協定では不安

7月13日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六月十四日】郵便局汚職を見ていると、政治とは悪魔に魂を売った男たちの宴会場のようだ。このような男たちに中央銀行の独立権限が、委ねられていると思うと背筋が冷たくなる。ブラジルは、自滅の道を走っているのだろうか。
 中銀がその機能を果たすためには、独立権限が必要なことは世界共通である。特に自国通貨の防衛と為替政策で欠かせない。中銀の免疫力だけでは、通貨危機から自国経済を守れない。
 郵便局や再保険院など民営化の対象にある公社らに、何が起きているのか。政治家という男たちの公金横領の稼ぎ場であることが、容易に想像される。鉄鋼や電話、石油化学、鉄鉱石、鉄道など政治家の支配下にある公社は、全てそうだ。政治家の選挙資金は、ここで捻出される。
 中銀には、二つの役目がある。一つは通貨の発行と通貨量の調整、インフレ抑制、経済活動への影響操作。もう一つは、金融活動の保障と通貨危機への配慮、銀行業の監視、取り付け、銀行倒産の防止。
 この中銀の独立権限とは、中銀の判断で活動をすることではなく、社会に代わって任務を遂行することなのだ。中銀の任務遂行の判断基準は、上院に一任と連邦令は定めている。
 中銀理事は、任期制ではなく、随時更迭できる。上司の気分次第で、いつでも首がとぶ。しかし、それが実際には起きていない。それは大統領または財務相の行政介入でもないかぎり、中銀に任務一任と内部協定を結んでいるからだ。
 内部協定である限り、法令で定めたものではない。いつでも内部協定は壊れる可能性がある。仮にバカ者が紙幣印刷機を占拠することもあり得る。ブラジルの高金利政策も、それと大同小異の類例といえる。
 八八年に連邦令が制定されて以来、ブラジルの金融システム改善のため中銀の独立権限の立法化が期待されている。独立権限に関する補足令は、いつも先延ばしされ、ブラジル経済は泥沼へはまりつつある。それは政治家らが、公金を意のままに貪りたいからだ。