7月9日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙八日】ルイス・グシケン広報長官は六日、ルーラ大統領へ進退伺いを提出したことを明らかにした。同長官は七日、広報局の側近らに辞任の意向を示唆。個人的判断で状況が解決できるなら、すでに第一線から身を引いていたという。大統領が政権の起死回生を賭けた内閣改造で、足手まといとなる存在にならないよう配慮したと述べている。同長官は以前関係したグローバルプレヴィ社の飛躍的成長の報道で、空爆下で暮らすような息苦しさと神経を擦り減らす日々を送っていたとされる。
グシケン長官は入閣のため譲渡したグローバルプレヴィ社とは現在、一切関与していないことを大統領に誓ったという。同社は同長官が創業、義弟が経営を引き継いだ。マスコミは同社が短期間に飛躍的成長を遂げたことを連日報道し、同長官との関係を暗示したことで同長官の心証を損ねたようだ。
同社は、銀行家ダニエル・ダンタス氏と年金基金の業務契約で覇を競った。同社の背後で同長官が上院でロビー活動を行い、政府へ根回しをしたという噂が業界にある。噂はダンタス氏と交友のあるアントニオ・C・マガリャンエス上議やボルジェ上議、フォルテ上議などから流されたようだ。
同長官は二〇〇二年の大統領選以来、ダンタス氏とはライバルであった。ダンタス氏は同長官を排除するためジルセウ前官房長官にコネを付け、グシケン長官に遮られた。グシケン長官はその後、ダンタス氏の差し金とオポチュニティ銀行の指令で、クロール社の監視を受けていた。
もしもグシケン長官が離任となると、大統領はジルセウ前官房長官の離任に続き、両腕を失うことになる。同長官は大統領の影のご意見番として、作戦参謀を務めていた。同長官は労働者党(PT)内で、パロッシ財務相とトロツキスト・コンビを組み、思想的根幹を成していた。ジルセウ氏とは、思想的にライバルであった。
ルーラ政権の発足当初、グシケン長官とジルセウ官房長官、パロッシ財務相はタカ派トリオと呼ばれ、大統領の政策決定に参加した。ルーラ大統領にとってグシケン長官は、忌憚なき意見を述べる数少ない心の友の一人である。
グシケン広報長官(55)は、PTの作戦参謀本部長でもある。大統領との交友関係では、最古参だ。同長官は八〇年代、銀行員労組の理事長を務め、金属労組の理事長ルーラ氏とは盟友関係にあった。同長官は下議を三期務めた。
伯銀年金基金の総裁と連邦経済金庫年金基金総裁、ペトロブラス年金基金総裁は、同長官配下の人物だ。在野時代は、インダイアトゥーバ市でグシケン&アソシエーツを経営していた。PT政権への入閣とともにグシケン夫妻は同社を義弟に譲って、グローバルプレヴィ社と改名した。
インダイアトゥーバ市役所の報告では、入閣以前の同社取引額は年間一五万一〇〇〇レアル、入閣後は一〇五万レアルへと飛躍した。取引先は郵便局や港湾局、造幣局、公立銀行など、目ぼしい公共機関の年金基金業務を一手に引き受けている。義弟が発行する投資誌が、広告注文を一挙に増やしたのも疑惑の対象となっている。