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宝生流能楽がブラジルに=紹介=親しみやすい形で=重要無形文化財も来伯=講演会やデモ実施へ

7月9日(土)

 日本が誇る最古の伝統演劇〃能〃がブラジルに――。宝生流能楽普及訪問団(佐野萌団長)が二十六日から約三週間、ブラジル各地やブエノス・アイレス(アルゼンチン)で講演、ワークショップ、デモンストレーションを中心とした活動を行う。国際交流基金が一部助成を行っており、ブラジル日本文化協会五十周年記念事業の一環。「古典のなかでも理解、鑑賞が難しいといわれる能を分かりやすく、親しみが沸くような形で紹介するのが目的」と、今回コーディネーター役を務める能の研究者、続木エウザさんは説明している。
 重要無形文化財(能楽)の総合指定も受けている佐野氏の来伯は、〇三年の加賀宝生流ブラジル訪問に続き、今回二回目となる。
 コーディネーター役を務めるのは、東京芸術大学音楽学部邦楽科名誉教授である同氏に八六年から四年間師事し、同大学大学院の博士課程を修了している続木エウザさん。
 「前回の公演では一週間でチケットが売り切れた」と反響を振り返りながら、今回の目的を「講演活動やワークショップなどを通し、能への理解を深めるため」と説明する。
 佐野氏の弟子にあたる渡部庸一、武内法子両氏も来伯、共に稽古の指導やワークショップを行う。
 三十日午後四時から、文協小講堂で行われる講演では、謡や動作、演出、作法に加え、能の舞台裏など、佐野氏の七十年の経験を聞くいい機会となりそうだ。 デモンストレーションでは、「高砂」「八島」「桜川」「猩々」など仕舞四曲が披露され、特別にブラジル宝生会(矢島新一郎代表)も地謡として参加する。
 八月五日午後三時に同場所で開かれる在伯能楽愛好者発表会では、ブラジル宝生会、観世流謡曲研究会、サンパウロ観世流能楽研究会(モジ)、朋謡会が合同で普段の練習の成果を発表、展示室で懇親会も予定されている。
 二十七日から二十九日、八月四、五の両日、午前九時から「初心者向けの謡、仕舞講座」が開講される。参加費は五十レアルで、日本語のみの限定十人。十五日から受付が開始される。
 詳しくは、文協事務局11・3208・1755(エリアナ)まで。
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 佐野萌(はじめ)七十六歳。宝生流能楽氏。三五年、宝生流宗家(宝生九郎)に入門。四六年「西王母」で初シテ以来、宝生流で中心的役割を果たす。五二年から東京芸術大学音楽部邦楽科教授、九五年同科名誉教授。日本能楽協会会員。重要無形文化財(能楽)総合指定。        【日程】
▼二十七日~八月五日(午前九~正午)サンパウロ日本文化協会小講堂で仕舞、謡稽古。ワークショップ(午後二時半・二十七日のみ)▼三十日午後四時、小講堂で講演、デモ(同時通訳)▼三十一日(リオ)▼八月一日午後四時、講演、デモ(ロンドリーナ大学)▼二日ワークショップ(ベロ・オリゾンテ)▼三日から四日午後二時ワークショップ(USP)▼五日午後三時、文協小講堂で在伯能楽愛好会発表会▼六日~八日、アルゼンチン、ブエノス・アイレス▼九日(フォス・ド・イグアスー)▼十一日午前十時サンパウロPUC大学講演、デモ。