7月8日(金)
医療機関で、使用する医学用語の対訳表が欲しい──。料理研究家の康本静子さん(68、東京都出身)がサンタクルース病院で診察を受けたところ、言葉の問題で医師とコミュニケーションがとれず困った。検査項目と内容、診療科の種類と診察・治療対象などについて、日本語で説明した対訳表をつくってもらいたいと訴えている。
康本さんは先ごろ、腰に痛みを覚えて同病院を訪れた。ところが、原因などがはっきりせず、様々な検査を受け、それに伴って担当医もころころ変わった。
ポルトガル語が苦手な康本さん。医師の指示がよく理解できず、検査と言われても、目的などが分からず戸惑った。「ブラジルに長年住んでいて、現地の言葉が話せないというのは、負い目を感じてしまうのですが……」。医師との意思疎通は、勘に頼る部分も少なくなかった。
「骨といってもリュウマチか神経痛か、それとも婦人科なのか、いろいろ考えられます。実は、神経痛の検査をしたのかさえ知らない」。
康本さんは六日夕、ニッケイ新聞社に骨に関する検査結果を持参した。もちろん、ポルトガル語で記述されている。専門用語も交じっており、現代ポルトガル語辞典に記載されていない言葉も少なくない。「骨がノルマルぐらいしか読解できないですネ」。
もちろん、サンタクルース病院に日本語を理解出来る医師が不在なわけではない。しかし、日常会話が通じても、病気などの詳しい内容まで突っ込むとなると、正確な説明を患者にするのは難しいだろう。
そこで、康本さんが希望しているのが日ポの対訳表。「病院の中は、細分化されており、どこの科でどのような治療を行っているのかが、分かるようなものがほしい。そうすれば、後で『家庭の医学』などで調べることも可能ですから」。
医療用語の解説なども付いていれば、主治医に指し示すことでコミュニケーションが円滑にいくのではと期待もかかる。
日本語が通じないというクレームは、サンタクルース病院だけでなく、日伯友好病院でも聞かれる。もともと、移民一世の医療を目的に建設された両病院。高齢化した一世のために、力を貸すことはできないのだろうか。