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PT政権の精神分析学=作家ケール氏=幻想を売る選挙公約=歴代政権の悪を引き継ぐ=人格的に病むブラジルの政治家

7月6日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六月二十六日】精神分析学者で作家のマリア・R・ケール氏は、PT政権を俎上に乗せ、PTが志すところと政治危機の治療を試みた。同氏は、特に告発する者と告発される者の葛藤についての精神分析を得意とする。例えばヴァウデマル・C・ネットPL党首は離婚問題で前妻と訴訟中だが、前妻の臭いパンティを大切に保管するなどの葛藤だ。
 以下は同氏の論旨。
 【情熱と雄弁と英雄像】情熱と幻想は、区別する必要がある。情熱は大衆を巻き込む。テレビの連続ドラマで、全国の聴取者を巻き込むのに似ている。しかし、政治家と詩人は大衆の同情を買う技術に長けており、情熱を演出するので注意が必要。
 政治とは、権力闘争の場である。この闘争では、情熱が道具として使われる。覚めた目で見れば幼稚だが、勝負のかぎになる。権力を勝ち取った喜びや大衆を沸かせる歓喜は、本質的にエゴイズムの延長に過ぎない。子供がダダをこねて、欲しいものを貰うのと同じ。
 民主主義は、政治家のエゴイズムを阻止するメカニズムが必要である。ブラジルの政治家は、人格的に精神病者である。例えばアントニオ・C・マガリャンエス氏。権力と愛国心がゴッチャ混ぜで、選挙民からバイアの国父として崇められている。ブラジルは、このタイプの愛国心を卒業しなければならない。
 【マスコミと事件と正義】マスコミは、事件を庶民の意思表示と思っている。マスコミは、事件の原因をねつ造することがある。この類の煽動は浸透が早い。煽動家の情報がねつ造で、ウソだと分かってもデマの効果は定着して動かない。
 ジェフェルソンPTB党首を取材した雑誌記事は、事件を一方的に取り扱った例だ。同党首の爆弾発言で多くの人が迷惑している。記者会見の場では多勢がともに会食し、誰も同党首の限度を超えた発言を止める者はいなかった。
 【失望と幻想と大統領】ルーラ政権の選挙公約は、PTの創立者や知識人が草案して大統領に言わせたもの。さらに選挙参謀が勝てば官軍とばかりに無責任で幼稚な文句を考案し、幻想を売り物にした。これは政治公約ではなく、消費者を欺く宣伝と同じだった。
 ルーラ氏へ投じられた票は、マルフ氏やピッタ氏へ投じられた票と同じ。幻想的な期待が投票させたのだ。当選を請け負ったドゥッダ・メンドンサ氏の責任もある。現政権で最も失望したのは、歴代政権が引き継いだ悪い習慣を同様に引き継いだことだ。
 ジュカー社会保障相の就任と同時に不正告発が起きた。大統領は同相を弁護したが、疑惑の議員に違いはない。同志であれば誰でもよいのか。大統領は、同志云々より公衆道徳を忘れたのだろうか。
 【裏金と目的と民主主義】政治目的は宣言時に妥当でも、必ず途中で変質する。軍政がよい例だ。現政権はブラジルの貧困層救済を目的としていた。しかし、それは政治目的の全てではない。政治の目的は、民主政治の完成であろう。