6月28日(火)
ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)は十七日、サンパウロ市内クラウン・プラザ・ホテルで定例懇親昼食会を開いた。新しく入会した会員の紹介の後、先月訪日したルーラ大統領に随行した田中会頭が、「第十一回日伯経済合同会議報告」をスピーチ、参加した約九十人が耳を傾けた。
冒頭で「第十一回日伯経済合同会議に出席すること、日本の出版社で編纂した『現代ブラジル事典』をルーラ大統領に贈呈することの二つが訪日の主な目的だった」と述べた。
同会議の成果として、「両国の多様化と投資拡大の実施時期を明確にしたこと」を指摘、具体的かつ効果的手段の検討もなされたことを挙げ、「両国政府に対し、EPA(経済連携協定)締結のため、産学官共同研究会の速やかな設置を要望したこと」を評価。
なお、ブラジル側が農産物輸出の障害となっている日本の衛生、検疫制度の規制緩和への方策を指摘したことを説明した。
それに対し、日本側はブラジルへの投資拡大の障害に関する調査結果を提示、「そのなかで複雑な税制、雇用、治安、ビザや通関手続きなどの問題」を指摘したという。
加えて、「障害克服を目的とした議論をブラジル工業連盟(CNI)と行うため、ミッションを派遣する考えを日本側は示した」と貿易における両国関係に進展があったことを報告した。
会議の場でブラジル側は、エタノールの輸入を強く要請。日本側はバイオ・エタノールから製造したETBEのガソリンとの混合の可能性について、政府が検討を開始したことを述べ、勉強会を立ち上げることに合意したことなど同会議の概要を述べた。
これらの会議は午前中に終了し、午後から開催されたブラジル投資セミナーには、パロッシ大蔵大臣、メイレーレス中央銀行総裁から、マクロ経済金融政策の方針と最近の経済情勢、続いて、ヂルマ鉱山エネルギー大臣、ロドリゲス農林大臣、フルラン商工開発大臣から、各部門について説明があったことを報告。
田中会頭は、「真面目な政策運営と、停滞している両国貿易の活性化、及び日本の投資誘引については、従来にない強い意欲が感じられた」と全体的な印象を振り返った。
なお、今回のルーラ訪日を機に東京に開設された観光事務所の除幕式が大統領の手で行われたことも報告、「ブラジル観光事務所でなく、メルコスル観光事務所と名付けられたことが注目すべき点では」と話した。
セミナーの終わりに、大統領は、一時間にわたってスピーチ。田中会頭は、「日伯の歴史的に親密な関係を強調、貿易、投資などこれからの密接な経済関係の必要性を訴える大統領の熱いスピーチは、約五百人の聴衆に深い感銘を与えていた」と会場の雰囲気を伝えた。
なお、今月発売予定の「現代ブラジル事典」の第一号を大統領に贈呈したことを報告、「勉強家といわれる大統領は、日本語が読めないにも関わらず、何回もページをめくっていた」とのエピドードは出席者の笑いを誘い、会場は和やかな雰囲気に包まれていた。