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レバノン・コネクション摘発=移民5家族17人逮捕=コカイン120キロを毎月欧州へ=豪華マンションで日夜宴会

6月24日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】連警はサンパウロ州とパラナ州で十七日、レバノン・コネクションと呼ばれる国際麻薬組織のメンバー十七人を逮捕した。首謀者はレバノンからの移民五家族で、家族全員ぐるみで毎月コカイン百二十キロをヨーロッパ向けに密輸していた。ドイツの警察が犯人の一人を国際指名手配したことから、同国のインターポール、アメリカの麻薬取締局との国際連携で全貌が明らかになり、逮捕につながった。一味は得た金でブラジルとレバノンで不動産を買い漁っていた。一味のうちの一家族はモルンビー区の豪華マンションで日夜宴会を開き、近所のひんしゅくを買っていた。
 捜査のきっかけとなったのは、昨年六月にサンパウロの空港から搭乗した三人のアメリカ人が、トルコのイースタンブル空港で二十五キロのコカインを所持していたことが発覚、逮捕されたことによる。同時にドイツの警察から国際指名手配された犯人がブラジルに潜伏しているとの情報が入り、捜査の依頼があった。
 連警は十一カ月間に及ぶ内偵で、レバノン人五家族が組織の中心であることを突き止めた。彼らは八〇年代にレバノン内乱による戦禍から逃れブラジルに移民として入国した。連警は一味らの電話のやり取りを録音したが、すべてアラビア語のため通訳を雇うなど捜査は困難を極めた。
 一味はボリビアやパラグアイで麻薬を仕入れ、パラナ州のフォス・デ・イグアス市やマットグロッソ州のポンタ・ポラン市経由でサンパウロ市に持ち込んでいた。大量の場合は五家族が共同作業をするが、少量の時は各家族がルート別に密輸していた。通常はブラジル人やヨーロッパ人を運び屋とし雇い、サンパウロ市、リオ、サルバドール、レシフェの空港からフランクフルト、リスボン、中近東に向かわせていた。
 組織の首領格の通称マリオは、モルンビー区の豪華マンションに住んでおり、連警は大量の大麻を押収した。ここでは連日乱痴気パーティが繰り広げられ、近所の不評を買っていた。
もう一人のレバノン人はアクリマソン区の高級アパートで逮捕された。ここで連警は現金一九万ドルと三九〇〇ユーロ、高級輸入車を押収した。
 さらに連警はサントス港に停泊中のポルトガル船籍の貨物船を急襲し、船底に隠されていた五十キロのコカインを押収した。モロッコ系フランス人の乗組員二人がレバノン・コネクションの一味として取調べを受けている。
 今回の逮捕劇は三州にまたがって捜査員二百人が動員され、現金四〇万ドルと六十五キロのコカインが押収され成果をあげた。作戦は早朝に実行されたため、容疑者はすべて就寝中に襲われ、抵抗や逃亡はなかった。十一人がサンパウロ州、三人がクリチーバ市、一人がフォス・デ・イグアス市(二市ともパラナ州)、二人がマットグロッソ州、ポンタ・ポラン市でそれぞれ逮捕された。