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100キロ範囲内に刑務所20カ所=住民と服役者が同数の市も=サンパウロ州
6月24日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】サンパウロ州西部プレジデンテ・ヴェンセスラウ市の刑務所で先週発生した暴動により市内の住民は、不安を募らせている。暴動は刑務所内の勢力争いが原因で、五人の受刑者がライバル組織に殺害され、首を切られてサラシ首にされるという、これまでの州内最大規模の騒ぎに発展し、三十時間に及んだ。幸い脱走に至らなかったものの、今後も再発する可能性があり、住民らは「火薬樽の上に座らされている」心境にあるという。
今回の暴動で改めてこの地域に刑務所が密集していることが浮き彫りとなった。サンパウロ市から六百キロのプレジデンテ・プルデンテ市を中心に百キロ範囲内の十五市に二十カ所の刑務所が存在し、一万四千七百七十一人の服役者を収容している。プラシーニャ市(プ・プルデンテから六十キロ)では人口千四百三十一人に対し服役者が千五十二人とほぼ同数となっている。
プレジデンテ・ヴェルナルデス市の刑務所は州内きっての堅固なもので、凶悪犯が収容されている。中でも麻薬王の通称ベイラ・マールが全国の刑務所から断られて身を落ち着けた刑務所として有名になった。住民らはこれに対し、罪悪人の倉庫であり、はきだめにしているとして州政府のご都合主義を非難している。これら地域の住民は平均収入が最低賃金という貧困地帯で、刑務所を建てて犯罪人を送り込むだけで、地域発展を顧みない州政府の政策に不満をあらわにしている。