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マルタ前市長の政治活動禁止=国庫裁判所が判決=自身設立のNGOに便宜=数年に及ぶ法廷闘争始まる

6月23日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】マルタ・スプリシ前サンパウロ市長は二十一日、前市長設立のNGO(非政府)団体GTPOS(性教育機関)へ入札手続きを経ずに違法契約のお膳立てをしたとして、国庫裁判所第十四法廷のサンチニ裁判長から二〇〇八年までの政治活動禁止と罰金刑の判決を下された。実刑判決は被告側の抗弁が全て棄却された後、発効する。前市長の専任弁護士は、当判決が州高等裁判事の告訴却下の後に下されたとして、判決無効の手続きを始めた。
 マルタ前サンパウロ市長にとっては、次期サンパウロ州知事への立候補に賭けた矢先の政治活動禁止判決である。さらに前市長時代の〇三年三月分の給料を、国庫へ返上せよというのだ。判決に対しては控訴が認められるので、数年に及ぶ法廷闘争が繰り広げられるらしい。
 前市長の弁護士セラノ氏は、十五日以内の控訴手続きを求められた。二月四日付け官報では、サンパウロ州検察局がサンパウロ市のGTPOSとの委託契約を違法とする告訴を行い、同裁判長が受理する仮処分が発表された。
 同NGO団体は、検察局が告訴するような市財政へ損害を与えた事実はないとする抗弁を裁判所へ行った。従って国庫裁判所の判決は、最終判決が下るまで保留するよう申請した。
 州高等裁のモアシール・ペレス判事は二月二十二日に同仮処分を却下した。しかし、六月六日には却下を保留へ変更した。実際には国庫裁判所が州高等裁の動きを封じたのだ。サンパウロ州検察局は、同契約が市財政に及ぼす損失のリスクと、回収不能な損害の可能性があるのは明白な事実で、市財政の悪化のみならず、法的見地からも憂慮されるとした。
 前市長の専任弁護士の話によれば、国庫裁判所が州高等裁判決を封じたのは六月二日。しかし、公文書登録係のスローモー受理で一足遅れの六月九日に文書登録が行われた。法的に効力を失った後だったという。
 検察局の告訴によればサンパウロ市は〇三年、学童の性教育のためにNGO団体GTOPSと二百三万レアルに上る業務委託契約を結んだ。同団体はマルタ前市長が九七年に設立し、自ら名誉会長に納まっていた。検察官は、前市長が法的手続きを経ず一方的に同団体を優先し、契約の締結に持ち込んだとしている。
 国庫裁判所判決ではマルタ前市長の他、GTOPS役員とサンパウロ市前教育課長も連座したとして政治活動を禁じられた。同判決が最終決定になると全被告は、公共機関との全ての契約や税制恩典、公立銀行の融資が封じられる。GTOPSは、受け取り金額の三〇%を国庫へ返還するよう要求された。
 一方、委託契約の手続き不備だけが指摘され、業務内容や活動結果は一顧だにされないことで、GTOPSは不満を募らせた。同団体は、千校以上の小中学校で性教育の巡回指導を行った。産児制限が許されない当国では、人口の歯止めには正しい性知識による産児計画が必要だと強調した。性知識が皆無な社会層への教育は、児童の性教育から入るしかない。称賛されはしても、有罪判決とは心外だと憤慨している。