6月17日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】サンパウロ市の殺人事件が昨年までの過去五年間に四〇%減少したことを受けて、アウキミンサンパウロ州知事はジャルジン・アンジェラ区の犯罪減少を取り上げて治安効果を強調した。同区ではこれまでの五十日間、殺人事件がゼロという史上初の記録を達成。この陰に日本の警察のスーパーバイザーによる実地指導があったことが明らかになった。
サンパウロ州軍警司令官のマルケス大佐によると、軍警では日本の警官のパトロールによる地域コミュニティとの密着に注目し、ブラジルでの実施を検討してきた。今年初めには同大佐を含む幹部一行が訪日し、交番やパトロールの実態を視察して警官が地域に溶け込んでいることを実感したという。さらに交番は百年の歴史があり、地域の顔となっているとし、ブラジルでも実行に移したいとの意向を示した。
日本から訪伯したスーパーバイザーは二月から滞在しており、各地で実地指導を行っている。ジャルジン・アンジェラ区の場合、警官が区長に伴われて各家庭を訪問し、家族構成や問題点などを聞き出し、住民とのコミュニケーションに注目した。
このおかげで警官と住民との壁が取り除かれ、会話や情報提供が増えた。警官も住民を覚えることで不審者を発見でき、犯罪防止につながっている。今では警官は町の人気者となり、誕生パーティやシュラスコに呼ばれるという。中には子供の洗礼名の名付け親になったり、夫婦喧嘩の仲裁も頼まれるくらい市民に溶け込んでいる。
同区は一九九六年にユネスコの調査で人口十万人当たりの殺人被害者数が一二三・四人となり、世界一の不名誉のレッテルを張られた。これが昨年は六四・五人に減少した。サンパウロ州知事は、今回の地域コミュニティとの密着による犯罪防止を全国のモデルにしたいとの意向を示している。