6月17日(金)
今年に入り景気の冷え込みが表面化しているにもかかわらず、サラリーマンの昇給がインフレを上回っている。コンサルタント会社がサンパウロ州内の百二十七社を調査したところ、八九%が消費者物価指数を上回る昇給を行ったと答えている。いっぽうでフォルサ・シンジカル労組の調べによると、二〇部門のうち飲料や輸送の四部門を除く残り全てが、インフレ以上の給与調整を行った。とくに七千人の従業員を抱える食用油部門はインフレ六・六一%に三・一八%を上乗せして一〇%の高率昇給を実施した。同労組は未曽有の出来事として驚くとともに、各部門とも、今年下半期の景気回復を期待した社員優遇策だと手放しで喜んでいる。
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昨年度の広告ランキングで、カーザ・バイアが七億一三一〇万レアルを費やして二年連続でトップとなった。一昨年の八九%増だった。二位は一昨年まで十年間トップの座を保ったユニレバーの三億五八〇万レアルで、カーザ・バイアの半分にも満たなかった。三位はAmBev(飲料)の二億三〇五〇万レアル、電話のVIVOが一昨年の十六位から四位に上昇した。自動車ではGMがトップで不況回復に大わらわ。マラブラスも小売業界に負けじと奮闘中で、ベストテン入りした。公営企業ではブラジル銀行、ペトロブラス、連邦貯蓄銀行の順で、今政界を揺がしている郵便局がこれに次いだ。
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テレビもネー、ラジオもネー、無い筈だよオラの村には電気がネー。吉幾三の歌だが、セアラ州の寒村アルミセ(フォルタレーザから一三〇キロ)では電気もないのにコンピューター三台が教材や通信網として使用されている。太陽熱エネルギーを利用しているのだ。トラックのバッテリー六台で熱エネルギーを採取しているが、量が少なく、一時間使用して三十分切るという。同州がモデルケースとして設置したもの。頭痛の種は室内温度が高いためコンピューター部品が焼けてしまうこと。上下水道の設備もなく、原始生活に近い生活をしていた八百人の住人は、突然舞いんだ文明の力に目を丸くしている。吉幾三も熱エネルギーまでは思いも寄らなかっただろう。