6月15日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】政府与党労働者党(PT)は十三日、下院倫理委員会で十四日行われるジェフェルソンブラジル労働党(PTB)党首の証言内容次第で、今後の議会対策を練ることにした。同党首による公社汚職や裏金配布の告発で引き起こされた、政治危機を克服する戦略を政府首脳部は模索する。内閣改造は結果論とし、郵便局汚職議会調査委員会(CPI)で先手を打つため政府は身構えた。これはルーラ大統領の政府首脳部への檄らしい。
PTB党首が下院倫理委員会で何を証言するかに、政府の方針や内閣改造がかかることになった。大統領は、CPIの先制権を握り、過熱気味の政治危機を沈静化することに自信があるようだ。PTB党首を唯一の被告人に仕立て、無頼漢とするPTの作戦らしい。
渦中のPTB党首は十四日の証言を控え、自分は告発者であり被告人ではないと記者団に訴えた。証言では、ゴマンとある告発の中から前菜を馳走するという。爆弾発言はCPI本番で見舞うから、スペクタルを期待するよう通告した。
PTは、同党首の孤立化と党追放を画策している。さらに同党首の告発の無効化と政治生命の抹殺をも狙っている。PTBは同党首の援護射撃で懐が暖かくなった今、対PT戦で結束した。権謀術数では忍者生活の長かった同党首は、表の顔よりも陰の立役者として能力を発揮するらしい。
すでに骨格ができている内閣改造はその後になる。大統領は省庁の長官数を減らし、抜本的改造はないと述べた。交代選手の中には、ジルセウ官房長官も含まれるらしい。閣僚横滑りか下院の議会対策委員とするか、官房長官の今後の身の振り方をめぐり、PT密室会議がひんぱんに行われている。
パロッシ財務相は、裏金疑惑の火の粉を被った官房長官の閣外退去を惜しんだ。同長官は、PTのコーディネーターとして必須の駒という。財務相は同長官がPTの大黒柱であり、大統領による同長官の閣外後退容認は信じ難いと述べた。しかし、経済政策を巡っては、官房長官と財務相が激しく対立。大統領府の中での官房長官の孤立状態は、否めないようだ。
大統領は十三日、テレビとラジオで汚職に対しては「一つの石の上に、他の石が残らないまでに壊す」と聖書の言葉を引用した。国民は辛抱して見守って欲しいという。犯人が判明しても、逮捕するのは大統領ではなく裁判所だから、判決が出るまで待たねばならないと述べた。
ブラジルの汚職史は、歴史が古い。汚職は取り締まるほど手口が巧妙化し、国家内国家を構築する。汚職対策のため、議会活動が妨害される。審議するべき法案が審議されず、国家の発展につながる法整備ができず、ますます経済成長が遅れると大統領は慨嘆。
イタリアで行われた「きれいな手」作戦の実施が、たとえ要人の犠牲が出てもブラジルでは必要だと大統領は訴えた。また告発には意図的にえん罪を仕組んだ作為的なものが多く、捜査の妨げとなるという。大統領は、疑惑者の氏名と社名、事実の根拠の明記を告発に求めた。