6月15日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】サントス市内で暗躍していた麻薬組織の一掃作戦で、幹部とともに逮捕された〃サッカーの王様〃ペレーの長男エジーニョ容疑者に対し、弁護団は治療のため入院が必要として保釈を申請していたが、却下された。
ペレーをはじめとする弁護団は十日の逮捕当時から無実を主張し、証拠不十分として釈放を要求する構えを見せていたが、同容疑者が罪を認めたことと、警察が立件できる証拠をそろえたことを知り、急きょ情状酌量による保釈を願い出たもの。保釈理由として麻薬中毒の手当が必要だとしている。
これに対しサントス地裁は、同容疑者は単に麻薬常習や不法所持の罪ではなく、組織の一味として幹部クラスの役割を果し、検察も立件物証があることから、保釈の理由は見当らないとして、願い出を却下した。弁護団はサンパウロ州高裁に再申請できるが、今の所、態度を明らかにしていない。
これにより同容疑者はプライア・グランデ市の麻薬取締捜査課の取調室で引き続き取調べが行われる。同課には留置場がないため、同容疑者は取調室の古ソファーで寝起きし、食事も外注で宅配させている。捜査課では取調べを終えた後、どこの拘置所に入れるかで頭を悩ませている。
同容疑者らの組織は、サンパウロ州きっての犯罪グループ、首都第一コマンド(PCC)と抗争中で、PCCは幹部に対し「死の宣告」を出している。サンパウロ州内の刑務所にはPCCグループの受刑者で溢れており、入所したら死の処刑が待ち構えている。
刑務所には大学卒だと隔離された上級独房に入る権利を有するが、エジーニョ容疑者は五歳から二十歳までニューヨークで過ごし、アメリカの大学を卒業している。しかし外国の免状は通用しないため、独房の権利はなく一般収容扱いとなる。捜査課は安全な場所を探して入所させるとしている。同容疑者とともに逮捕された首領のナウジーニョは起訴されて未決囚刑務所に送られたが、死の処刑を免れるため、警察の車の中で寝ているという。