6月15日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】ブラジルは五月、ついに過去十二カ月で一千億ドル輸出を達成した。世界の輸出が二〇〇四年、平均一八%増を記録したのに対し、ブラジルは三二%と大きく上回った。さらに同時期、ブラジルの貿易黒字が三三〇億ドルを計上し、世界でも有数の貿易国として浮上した。
ブラジルは過去二十年間、世界が貿易ブームで沸く中、多くの新興国に追い抜かれた。諸外国は同時期、輸出を五倍も増やし、総額二兆ドルから九兆ドルへと前進した。またグロバリゼーションも浸透し、関税は軽減され、地域ブロック化や多国籍化も進んだ。
世界貿易の六〇%が多国籍企業によっている。多くの国々は、国内市場よりも外国市場の拡大に奔走した。国内需要の高まりでブラジル企業は国際競争力と輸出力を養った。
ブラジルは構造的原因により毎年、二七〇億ドルを金利支払いや配当金の送金、その他経費のために外国へ送金している。そのため、外資依存から抜けきれない。過去十年間は、外資の釣り場であった。
いっぽうで、配当金の送金増加が長期にわたって貿易黒字に拍車を掛けている。輸出と配当金はセットなので、輸出戦略の中で生産が行われている。戦略の世界地図は、経済発展のチャンスを生み出す。
〇四年の輸出戦略では、ドイツの台頭が九一五〇億ドル、世界貿易の一〇%を占め注目された。続いて米国、中国。ブラジルは二十五位で、世界貿易の一・一%を占めた。八〇年には一・五%を占めたブラジルは、遅れをとった。
ブラジルが過去二十年間、惰眠を貪る間に韓国やメキシコ、ロシア、台湾、シンガポール、スペインに追い抜かれた。ブラジルが輸出の失地回復をするためには、〇三、〇四年のように世界平均を上回る輸出を継続する必要がある。
それを達成するためには五つの不可欠条件を完備すること。一、内外要因に振り回されない輸出戦略の設定。二、通貨危機に翻弄されない為替政策の設定。三、輸出競争力と高度技術、サービスの開発。四、海外販売網とブラジル・ブランドの設定。五、FTAAなど新市場の開拓。六、インフラや生産への投資促進。