6月15日(水)
サンパウロ市イジエノポリス区にある旧サンパウロ総領事公邸がサンパウロ市の保護文化財に指定されたことが明らかになった。十日付けのサンパウロ市官報で公示されたもので、十一日のエスタード紙が伝えている。
旧公邸を含む地域の文化財指定については九四年から、サンパウロ市の文化財保護審議会(Conpresp)で検討が続けられてきた。総領事館では「弁護士を通じて確認中」としながらも、これまで通り売却の方向で手続きを進める意向だ。
かつては歴代の総領事が滞在し、日伯両国、日系コロニアの社交の場として賑わった旧総領事公邸。しかし、約二十年前に総領事公邸が現在のモルンビー区に移転してからは未使用の状態が続いている。
九四年、サンパウロ市の文化財保護審議会(Conpresp)は同建物を含む地域を文化財保護検討地区に指定。以後検討が続けられてきた。これにより建物の保存義務が生じたため、取り壊しや改築ができなくなり、現在にいたっている。
文化財指定の理由としては、二十世紀初頭の建築様式をとどめる同地域の歴史的、文化的な価値が評価されたため。今回の決定と合わせ、サンタ・セシリア区内ガブリエル・ドス・サントス街の十三の不動産についても文化財指定の検討に入ることも公示された。
検討開始から決定まで十年以上がかかったことについてエスタード紙は、外国が所有する不動産の文化財指定が可能かどうか議論があったことを伝えている。
現在、総領事館では警備員などを置いて旧公邸の維持、管理を行っている。売却を検討しているが、その見通しは立っていない。