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資産暫定令めぐり対立=官房長官と財務相で=15日まで発令延期される

6月14日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】郵便局と再保険院の汚職や与党内のスキャンダルで政局が揺れる中、政府内で資産暫定令をめぐって対立が表面化してきた。資産暫定令はパロッシ財務相が今年の経済政策の目玉商品として推進したもので、新しい投資案件と輸出企業に対し免税措置を取るもの。これを外国企業からの投資の呼び水にするのが狙いで、先月の韓国と日本訪問でルーラ大統領も盛んにアピールを行ってきた。当初は外国企業を対象としたが、国内企業も対象に組み入れられた。
 これに対しジルセウ官房長官を旗頭とする政府内の経済アナリストらは、対象をさらに広げるとともに、企業に限らず個人所得税の減税も含めることを提案している。これは家政婦などの個人雇用に対し免税を実施するもので、これにより国内で六百万人と言われる未登録雇用を失くすとともに、社会福祉基金の増収を図るというもの。
 しかしパロッシ財務相は暫定令の実施で税収が一五億レアル減少すると見込まれており、現実的に無理だとした上で、これ以上の減収は認めないと突っ張ねた。これにより暫定令は九日に発令される予定が、十五日まで先延ばしされる見込みとなった。
 先週以来、ジルセウ官房長官はパロッシ財務相に対して批判的発言を繰返し、確執が深まっていることをうかがわせた。同財務相が国家支出を抑制することを目的に予算の執行を抑えていることに対し、各省から不満が噴出していることで、官房長官は経済政策の失敗だと公言している。今年の再生黒字目標は国内総生産(GDP)の四・二五%だが、一月から四月までの実数が七・三%と目標をはるかに超えている。これにつき同長官は「現在の経済政策ではプライマリー黒字が七%、金利は年率二〇%に達する最悪の事態となるだろう」と攻撃している。
 ルーラ大統領は、政府内の両実力者の確執に対し、「個々の非難という程度の低いことは止め、政局の混乱を乗り切ることと、経済成長について建設的な姿勢を取ることが大事だ」との考えを強調している。