6月11日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】ルーラ大統領は九日、中央銀行のメイレーレス総裁と社会保障院のジュカー社会保障相の交代で、カリェイロ上院議長とカヴァウカンチ下院議長の了承を取り付けた。正式発表は郵便局汚職CPI(議会調査委員会)設置が確定し、政治危機が表面化した時点で行うとみられる。両氏の疑惑関与を審理中のジョビン最高裁長官は九日、政治危機に遭遇する現政権にとって、今は政治改革を実施するよい機会であると述べた。
政府はあらゆる手を尽くしてメイレーレス中銀総裁とジュカー社会保障相の体面を守ったが、政治危機は避けられない様相が濃くなった。中央銀行総裁は近日、郵便局汚職CPI設置による政治危機の表面化とともに、ムリロ・ポルトガル財務次官へ交代する可能性が確実となった。
大統領は両氏の交代に向けた法的手続きを予想より早く行う公算が大きくなった。両氏とも一連の疑惑関与で、最高裁が審理を行っている。与野党の激突で政局が混乱する土壇場で、政治情勢に巻き込まれずに政治改革を行う適切な機会だと最高裁長官は見ている。
中銀総裁の選挙違反審理も、他との絡み合いに煩わされずに裁決するよい機会だと同長官は述べた。また不貞節な政党システムの改正にも、よいチャンスだという。政党は忠誠な党員の所有物で、立候補者は党を構成する一員である。党籍は屋台で売られるバナナではないと、同長官は現行制度を糾弾した。
大統領は最高裁判決の前に、屈辱感を味あわせることなく両氏を交代させたいと考えている。しかし、中銀総裁は第四回汚職対策フォーラムで強調したように、飽くまで潔白を固執し徹底抗戦の構えでいる。交代劇は、郵便局と再保険院の全管理職解任がスムースに行われた後の同じ波に乗りつつ実施という意見もある。
政治資金カンパ総司令官として、らつ腕を奮ったジルセウ官房長官の保健相横滑り説もある。表向きは保健省で、政治面の根回しに専念するという作戦らしい。もしジルセウ保健相が誕生した場合、官房室にバストス法相が入り、現在政府を悩ましている問題の後始末をする計画のようだ。
議員から閣僚に起用されたメンバーの交代も、検討されている。型にはまり過ぎて現実性に乏しく、実戦力不足とみられるからだ。与党によるCPI操作と三役獲得で、野党の攻勢をどこまで押さえ込めるか、連立与党議員は手に汗を握り固唾を飲んでいる。こうなると議会活動と連立与党強化のため、議員閣僚の出番となりそうだ。
ジュカー社会保障相が閣僚から降ろされると、ブラジル民主運動党(PMDB)は穏やかではない。CPI委員に推薦されていたルース上議の代わりに、降ろされた後のジュカー下議をCPI委員へ推薦するらしい。
中銀総裁の交代は問題ないようだ。最高裁がフォンテレス検事総長に疑惑捜査の許可を与えてから、総裁の立場は弱くなった。政府が与えた閣僚扱いとする特権を、最高裁が事実上拒否したことになった。