6月11日(土)
先住民による抗議行動が大統領の辞任に発展するなど混乱が続いているボリビア・ラパスで空港が閉鎖され、日本人短期滞在者十一人が足止めを食っていたことが分かった。九日深夜に開かれた国会でエドワルド最高裁長官が新大統領に就任し十日朝、空港閉鎖も解除されたが、日本の外務省は情勢悪化にそなえ、在外公館などを通じ、同国の在留邦人に対し食料や水の備蓄を一時呼びかけ。NHKは十日の海外安全情報で、大使館が情勢悪化に備えチャーター機など退避のための準備を進めているとも伝えた。ただ、大使館では、事態は収拾に向かうものと見ている。
ボリビアでは先月以降、先住民の権利拡大や天然エネルギーの国有化を求める抗議活動が続いていた。デモの拡大を受け六日にはカルロス・メサ大統領が辞任を表明。メサ前大統領の辞任表明以後も混乱は続き、各地で幹線道路が封鎖されたほか、ラパス市近郊のエルアルト国際空港でも管制官のデモによる空港閉鎖が続いた。
混乱の拡大を受け、日本の外務省はボリビアに対する渡航情報(危険情報)を引き上げた。コチャバンバ県、オルーロ県については退避勧告に次ぐ「渡航延期」、ラパス、スクレ両市を含む地域もそれに次ぐ「渡航の是非を検討」に指定されている。
同国内ではサンフアン、オキナワなど国内各地の移住地を中心に約三千人の在留邦人が暮らす。日系人口は約一万三千人。うちラパス市内の在留邦人は約三百人。永住者は二百人で、残りは大使館、JICA関係者などの長期滞在者だ。
日本大使館では情勢の悪化に備えて食料や水、燃料の備蓄を呼びかけ。短期滞在者に対しても情報収集と安全確保に務めるとともに、滞在先の連絡先を大使館に通報するよう警告した。
空港封鎖の影響を受け、ラパス市では短期滞在者十一人が足止めを食った。NHKは十日の海外安全情報で、急激な情勢悪化に備え、大使館がチャーター機など退避のための準備を進めていると伝えた。
日本大使館の中村一博参事官は本紙の取材に対し、「昨夜の新大統領就任後、情勢は落ち着きを取り戻しつつある」と現在の状況を説明。「引き続き情報収集と邦人の安全確保を進める」と語った。