ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

バッテパッポ

6月10日(金)

 たかがモルタデラ(ハム)、されどモルタデラ。ブラジルにしっかり根をはっているこのハムは、これまでの貧民の食べ物のイメージを超え広い層で愛されている。その昔、日本からの移民が弁当代わりにハムのサンドイッチを渡されたが、食べられず車窓から捨てたと伝え聞いた。しかし農業労働者には一番のごちそうだった。サンパウロ市内でもサンドイッチ専門店が数軒あり、中でも中央市場のバール・ド・マネーは一日百個を売りさばき、名物となっている。今年一~四月の消費は四万八千七百トンを超え、年内には十五万トンの大台に乗ると見られ、六億レアルの産業となる。値段もキロ当たり四レアルの大衆向けから、三〇レアルの高級品までさまざまな品質が出回っている。燻製も評判を呼んでいる。
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 本人の知らぬ間に銀行口座から金をかすめ取る犯罪が相変わらず横行している。最近ではインターネットの普及でこの種の犯罪が急増。金融筋や消費者保護団体は常に銀行預金の出し入れをチェックし、残高をその都度確かめるようアドバイスしている。異変に感づいたらすぐ銀行で調べること。その際、文書で事情を説明し、銀行の受取り判を貰うこととしている。銀行側では専門の検査官がいるので解明が早い。詐欺だと判明したら銀行が賠償責任を負う。これまで一週間後に賠償金を払う例が多いが、苦情を申し入れた時点で支払う良心的な銀行もある。
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 家政婦が門前で恋人と語らっていても雇用主はこれを禁止することができない。サンパウロ市労働裁判所が家政婦の訴えを認めて下した判決だ。家政婦は恋人と語らうのを日課としていたが、雇用主は、風紀が乱れるのと、恋人と共謀して盗みを働く可能性があるとして、家政婦をクビにした。これに対し裁判所は家政婦にはテレビを見たり電話をかけるといったプライベートな時間を有する権利があるとして、雇用主に対し、退職金や名誉棄損の賠償金の支払いを命じた。
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 リオ市のエスタシオ・デ・サー大学の教授が、授業時間中にクラス全員を前にある女子学生が「デブ」で「これ以上太らない方が良い」と発言したことで、同市地裁は名誉棄損、差別発言に値するとして罰金三〇〇〇レアルの支払いを命じた。悪気はなく、健康一般論として発言したと教授は弁明しているが、判決には従うという。口は災いの元だ。

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