6月9日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】サントス市の麻薬巨大組織の大量逮捕劇から一夜明けた七日、ペレー元選手の長男でサントスチームのゴールキーパーだったエジーニョ容疑者は取り調べで、一味に荷担していたことを全面的に認めた。
当初は麻薬常習による不法所持容疑と見られていたが、一員として組織に加わっていたことが判明した。録音された電話のやりとりで、同容疑者は組織の首領のナウジーニョ容疑者(逮捕済み)に対し、「資金はお前が出せ。俺は父親の名を出す」と発言しているという。
連警は六日に逮捕した五十人に加え、七日に二人を逮捕。さらに逃亡中の七人の行方を追っている。このうち首領を含む十三人は即日起訴されて未決囚刑務所に送られた。エジーニョ容疑者は拘置所で取り調べを受けている。連警では同容疑者が一味に荷担したことで、他のサッカー選手を巻き込んだ可能性があるとみて、サッカー界と麻薬組織のゆ着を捜査する方針を打ち出した。
ペレー元選手は七日、取調室で息子と対面した。息子は涙にむせびながら何度も父親に非を詫びた。父親も涙ながらに「一緒に更正の道を歩もう」と励ました。その後の記者会見でペレー元選手は、「これまで何も知らず、逮捕も寝耳に水だった」とした上で、それまで無実を信じていたが、息子の自供で犯行を認めるに至ったと語った。
そして「この上は罪を償い、更正させることを誓う」との決意を示した。さらに自身がスポーツ大臣やスポーツ親善大使を務め、スポーツ振興で青少年犯罪の防止を提唱してきたのに、実の息子が麻薬に染まったのは斬魂の念に堪えないとの心情を吐露した。また首領のナウジーニョ容疑者がサントスチームで一緒にプレーしたピチコ元選手の息子であることについては、旧友同士の息子ということでつき合っていると思っていたとし、組織のボスだとは思いもよらなかったという。
プロサッカー選手の間では、ドーピングのほか麻薬常習者が多い。アルゼンチンのマラドーナ選手が身を持ち崩したのは有名だ。ブラジルでは代表経験のあるアスレチッコ・ミネイロ・クラブのレイナルド元選手が、九六年に六百グラムの麻薬所持で逮捕され、四年の実刑判決を受けた。代表のレギュラーだったフラメンゴ・クラブのジュニオール・バイアーノ選手もドーピング検査でコカイン反応が出て、百二十日間の出場停止処分となった。またコリンチアンスのジネイ選手も同様二百四十日間の出場停止となった。ジョジマルやミシェル(現サンパウロ)も処分を受けている。
関係者によるとプロスポーツとくにサッカーは収入が多い代りに、力が衰えて引退が近づくと精神的プレッシャーがひどいという。さらに引退後はそれまでの華やかな舞台から「普通の人」に成り下がることでやる気がなくなり、勢いアルコールや麻薬に走るケースが多いという。