6月8日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】ペリロ・ゴイアス州知事(ブラジル社会民主党=PSDB)は六日、与党労働者党(PT)が野党議員買収のため三万レアルの裏金を毎月、百万レアルを年末に支給すると示唆していたことを、二〇〇四年五月にルーラ大統領に報告していたことを明らかにした。最高裁は、大統領が事実を承知の上で放置していたことが証明されれば、大統領弾劾の審理対象になり得るとした。これで郵便局汚職に関する議会調査委員会(CPI)の設置阻止は、困難となる見通しになった。
議員買収のための裏金支給が暴露され、大統領府も黙認していたことで政局は一挙に緊迫化した。ルーラ大統領は就任以来、最大の山場を迎えたようだ。郵便局汚職CPI阻止で奔走する間に、政府は裏を突かれたらしい。弾劾裁判の可能性が生じ、大統領の立場が微妙になったことで金融市場も動揺した。
同知事の告発によれば、野党議員がPSDBを離党し連立与党へ移籍すると、毎月四万レアル、年末に百万レアルを受給できることになっていた。政府のCPI設置ノロノロ作戦も、同告発で窮地に追い込まれた。さらに裏金CPIか特別審議委員会が、設置される形勢となった。
最も微妙な立場へ追い込まれたのは、大統領といえそうだ。金融市場は政治危機の到来と見て、ドル通貨とカントリーリスクが上昇。上院では、疑惑の大統領側近の解任を求めた。ブラジル全体が不本意な事態に突入するより、大統領が不本意な事態を回避する方が容易だとみている。
PT財務担当であるソアレス氏から進歩党(PP)や自由党(PL)議員らに三万レアルの裏金を支給した事実を、ジェファーソン・ブラジル労働党(PTB)党首は大統領へ個人的に報告したと述べた。同党首から大統領への報告は、レベロ議会対策委員とメルカダンテ上議によって確認された。大統領は、同件が調査の上で解決済みと思っていたと述べた。
一方、最高裁は大統領が事実を知りつつ裏金支給を阻止しなかったことが証明されれば、大統領の職務怠慢として刑事訴訟の可能性が生じるとした。最高裁は、PTB党首の記者会見を一部始終検討した。事実が証明されるとまず、上院で大統領の弾劾手続きが取られる。続いて最高裁で、刑事訴訟の可能性が審理される。
ペリロ・ゴイアス州知事は一年前、大統領がリオ・ヴェルデ市のペルジゴン工場竣工式に出席のおり、裏金供与示唆の事実を知らせたという。大統領は、前政権の通信相の所業として取り合わなかった。しかし、PTB党首の談話で裏が取られた結果となった。
連立与党の議員らは、〇四年以降現在まで裏金を受け取り続けている事実を、ジルセウ官房長官とパロッシ財務相に報告した。PTB党首の談話によれば、大統領は〇五年当初、裏金支給の報告を受けて泣いたという。同党首によれば、その時点で支給は中止したとされる。
郵便局汚職をPTB内の事件として処理するPTの戦略にPTB党首は反発し、CPI阻止と設置の間を往復している。もしPTBを切り落としてPTだけ延命しようとするなら、PTの最高幹部をギロチンに送ると同党首は宣言した。