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課題は政府経費の管理=ジェルダウ・グループ総帥=04年の好況は錯覚=改革遅すぎたブラジル=発展妨げる中世並みの税制

6月8日(水)

 【ヴェージャ誌一九〇二号】国際感覚のベテランといわれるジェルダウ・グループの総帥ジョルジェ・G・ヨハンペテル氏は、PT政権の成否が政府経費の管理にかかっているという。管理がズサンならブラジルは前進しない。二〇〇四年の好況は錯覚で、経済は離陸していない。こんな経験は過去に何度もあった。原因は政府資金の拙劣な運用、汚職、三権が有機的に機能していないことにある。同氏は米州自由貿易圏(FTAA)の交渉に先立ち、ジェルダウ・グループの生産拠点を外国に移し、FTAA化を行った。
 以下は同氏との一問一答。
 【一番商売がし易い国は】チリが一番。従業員の忠社精神も旺盛。こんな美しい労使関係は米国にもない。米国やカナダの有利な条件がチリにもある。チリの税制や金利、諸手続きの制度は理想的だ。ブラジルの徴税制度は、生産前に略奪し、法の精神がなくゲリラ国家の手法。
 【発展を妨げる税法とは】ブラジルの税制は、中世の制度だ。一億レアルの資本金で工場を経営しようとするなら、まず生産に入る前に三千万レアルの税金を取られる。外国なら三千万レアルを事業に投下できる。中世は事業を始める前に、領主に許可料の前払いを行った。先進国では廃止された制度だが、ブラジルでは生きている。政府官僚の考え方は中世から抜け出せないのだ。
 【国内と外国のジェルダウ・グループと税制の差は】国内では販売価格に占める税金は五四%、外国は一四%だから、ブラジルで生産したら外国で競争できない。さらに、カントリーリスクのために払う資金コストが高い。
 【短期間でできる解決法はあるか】解決法はある。米国だって前世紀に汚職がはびこっていたが一掃した。チリは理想的な国だが、チリ人がブラジル人より優っているわけではない。チリ人にできるなら、ブラジル人にもできる。チリ人が優るのは、甲羅に似せて穴を掘ることだ。これだけはブラジル人と異なる。
 【ブラジルの一連の改革は、無駄だったのか】ブラジルが改革の必要に気付いたのはよいことだ。だが気付くのが三十年も遅すぎた。世界は発展に向かって走っているのに、ブラジルはノロノロ歩いている。政治や民族性がバラバラでまとまりがない。ブラジル人は国際感覚が無に等しい。ブラジルの改革努力は、余りに希薄だ。
 【基本金利を下げるには】第一の障害は債務不履行のリスクが高いこと。第二に連邦政府が資金を全部借りてしまうため、必要なところへ融資が回らないこと。第三に銀行の資金を政府が、民間企業と奪い合っていること。第四に銀行間融資に課税している世界で唯一の国であること。
 【ブラジルの貯蓄は、経済の発展に役立っていないか】民間の貯蓄と企業の再投資を合わせて国内総生産の二〇%程度だが、中国は四〇%以上にもなる。ここが、両国の経済成長を支える産業構造の差である。
 【政府経費を削減する方法は】経費管理技術に尽きる。妙技はない。ブラジルの政府経費は、貧困者への援助と公共医療を損なわずに半減できる。連邦政府機関は能率が低く、経費の無駄使いが多すぎる。