6月8日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五月十日】ドル安にもかかわらず、輸出が伸びている。現在の輸出は二〇〇四年下半期の注文の出荷であって、やがて輸出は激減するという負け組と輸出は伸び続けるという勝ち組とがあるらしい。ドルは過去一年間に一〇・三六%も下げた。
為替変動の影響を最も受けるという加工品工業は〇五年第1・四半期、三九・七%増の輸出実績を挙げた。国際市場の需要増の波に乗り、〇四年第4・四半期の成長率二・九%を〇五年第1・四半期は三・五%へ引き上げた。
加工品業界の国際情勢は追風だという。ドル安が進行するほど、市場は強気になるとみている。JPモルガン銀行は、〇五年度加工品輸出を三一〇億ドルと見ていたが三五〇億ドルに上方修正した。工作機械の輸出は〇五年当初の二カ月間、昨年同期比で六〇・九%増の動きを見た。自動車業界は〇五年度輸出見込みを三〇%増と楽観的に予測している。
コモディテイ市場は、市場価格の高騰がドルの下落率を上回ったので為替差損は発生していない。鉄鉱石は七一・五%値上がりした。大豆価格低迷による輸出減少は一五%減だが、豚肉やコーヒー、砂糖の輸出増はそれをはるかに上回っている。
製靴業界のようにドル安の影響をもろに被ったところもあるので、無傷ということではない。製靴業界は中国に製靴技術を提供して、靴市場を奪われるエントロピー現象が起きている。工作機械は、ドル安で利益がロハになった。
機械製作業界は、国内販売で糊口を凌いでいる。やがて為替相場が回復する春を待っている。現在のところ、ドル安の被害が最も大きいのは、靴だけらしい。繊維業界はドル安の影響を訴えるが、輸出は一〇・五三%増と伸びている。政府当局はドル安を二・七〇レアルの水準に保てば、影響は一部業界に止まり、輸出全体が総崩れになる心配はないとみている。